早生で赤褐色のブドウ新品種候補 「ブドウ安芸津18号」

タイトル 早生で赤褐色のブドウ新品種候補 「ブドウ安芸津18号」
担当機関 果樹試験場
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 ブドウ新品種候補「ブドウ安芸津18号」は「ピオーネ」に「レッドパール」を交雑して育成した4倍体の早生系統である。安定した結実と収量及び平均5gの無核の果粒を得るために2回のジベレリン処理を行う必要がある。
背景・ねらい
 わが国において生産されている早生ブドウは大半が「デラウェア」で、ジベレリン処理を花房に行うことにより種無しブドウとして生産されているが、果粒が2g程度と小さいことが欠点である。ブドウの消費を拡大するため、さらに大粒の早生の種無しブドウの育成を図った。
成果の内容・特徴
  1.  昭和52年(1977)に果樹試験場安芸津支場において「ピオーネ」に「レッドパール」を交雑して育成した4倍体の系統である。
  2.  平成4年(1992)から系統番号「ブドウ安芸津18号」として、ブドウ第8回系統適応性検定試験において検討を続けた結果、平成9年1月(1997)に同試験成績検討会において新品種候補として適当であるとの結論を得た。
  3.  樹勢は中程度である。「巨峰」と同様の防除を行えば、めだった病害の発生は認められていない。花振るい性が強く、巨峰と同様の管理を行っても有核果粒はほとんど得られず、無核果粒が結実する。満開4~5日後と10~13日後にジベレリン(GA3)25ppm処理を行うと、無核果粒の結実が大きく向上し、商品性のある果粒の密着した種無しブドウ果房が安定して得られる。
  4.  早生ブドウであり、ジベレリン処理果房の収穫期は、露地では「デラウェア」と「巨峰」の中間である(表1及び2)。また、300g程度の円筒形の果房、「デラウェア」よりも大きい5g程度の無核果粒が得られ、果粒形は短楕円である。果皮の色は赤褐色で着色は安定している。果皮のはく皮の難易は「巨峰」と同程度の「中」である。裂果性は無いかあるいは極めて小さい。果肉特性は「巨峰」にやや近い「中間」である。糖度は「デラウェア」なみに高く、酸は「巨峰」なみである。香気はフォクシー香を呈する。
成果の活用面・留意点
 東北から九州にいたる広い範囲で栽培可能であるが、寒冷地に対する適応性は十分明らかになっていない。本品種候補の栽培には、結実を確保するためにジベレリン処理を行うことが不可欠である。ジベレリン処理果は「デラウェア」よりも果粒が大きく、栽培容易な早生の種無しブドウとして栽培に取り入れられていくことが期待される。
図表1 212901-1.gif
図表2 212901-2.gif
カテゴリ 病害虫 いちご 新品種 品種 ぶどう 防除

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