TIBA(2,3,5−トリヨード安息香酸)によるブドウ「巨峰」の成熟促進効果

タイトル TIBA(2,3,5−トリヨード安息香酸)によるブドウ「巨峰」の成熟促進効果
担当機関 果樹試験場
研究期間 1996~1997
研究担当者
発行年度 1996
要約 「巨峰」の成熟促進に作用する生理活性物質としてTIBAの効果が高いことを明らかにした。硬核期後期の200ppm果房散布処理により、果皮のアントシアニン含量ならびに果粒の糖度が向上し成熟が促進された。
背景・ねらい
 ブドウは硬核期後期のベレゾーン(水まわり)を境にして果粒の軟化、糖の増加、酸の減少、ならびに果皮の着色が急速に始まり成熟に至る。ブドウの成熟には植物ホルモンが深く関与していることが明らかになっており、中でもオーキシンが成熟を著しく遅延させる。そこで、抗オーキシン剤の一つであるTIBA(2,3,5-トリヨード安息香酸)によるブドウの成熟促進効果を検討した。
成果の内容・特徴
  1.  着色促進効果で知られるABA(アブシジン酸)との比較では、TIBAがABAと同様に対照区より果皮のアントシアニン含量を高める。ABAでは糖度の増加は認められないが、TIBAは対照区より糖度が高まる(表1)。
  2.  TIBAの処理時期を検討した結果、硬核期前の幼果期処理では果実肥大が抑制され、着色や糖度が対照区より明らかに劣り成熟が抑制される。これに対して、硬核期後期の満開45日目処理では、果皮のアントシアニン含量が増加し、糖度の増加ならびに酸の減少が認められ、成熟促進効果が最もよい(表2)。
  3.  硬核期後期におけるTIBAの処理濃度を検討した結果、20ppmでは対照区と差はないが、200ppmと400ppmでは果皮のアントシアニン含量が増加する(表3)。
  4.  これらの結果から、硬核期後期のTIBAの果房処理が「巨峰」の成熟を促進する。反対に、幼果期の処理ではブドウの成熟を抑制する。
成果の活用面・留意点
 ブドウの成熟促進、特に果実品質を低下させることなく着色をよくするので、ブドウの成熟生理を解明する上で有効な試験薬として活用できる。
 成熟促進の効果を確実にするため処理時期等の検討が必要である。また、本剤は植物生育調節剤として未登録であるので現時点では実栽培で使用できない。
図表1 212905-1.gif
図表2 212905-2.gif
図表3 212905-3.gif
カテゴリ 着色促進 ぶどう

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