蒸散量予測モデルによる果実の貯蔵性及び貯蔵環境の評価

タイトル 蒸散量予測モデルによる果実の貯蔵性及び貯蔵環境の評価
担当機関 果樹試験場
研究期間 1996~1997
研究担当者
発行年度 1996
要約 果皮抵抗、気温、相対湿度、風速などから予測した貯蔵果実の蒸散量と果重減少量から果実の貯蔵性、貯蔵環境の評価を行うモデルを開発した。果皮抵抗は果実の貯蔵性に密接に関係する。
背景・ねらい
 輸入果実の増加、消費者の高品質志向のなかで、品質・鮮度ともすぐれた果実の流通技術の開発が求められている。そのためには、果実の品質・鮮度の低下を予測する技術の開発が必要である。果実からの蒸散は鮮度に直接影響し、みずみずしさ、つやの低下などに関係する。しかし、蒸散には果実要因、環境要因が複雑に影響するため、従来の蒸散と温度、蒸散と湿度など単一要因との関係解析では不十分である。そこで、果実の蒸散量を、果皮抵抗、気温、相対湿度、風速などから予測するモデルを開発し、鮮度保持技術の開発・改良、果実の貯蔵性評価技術の開発に役立てる。
成果の内容・特徴
  1.  貯蔵果実の蒸散量Eは(1)式で示される。また、果重が5%減量するのに要する日数を鮮度保持日数とすると、鮮度保持日数Sは(2)式で示される。
    image (1)式image (2)式
     E:蒸散量(g・s-1)、A:果実表面積(m)、RH:相対湿度(%)、
     x(t):気温t(℃)における飽和時の絶対湿度(g・m-3)、r:果皮抵抗(s・m-1)、
     d:果実の直径(m)、v:風速(m・s-1、v<0.01の時はv=0.01とする)、
     S:鮮度保持日数(日)、W:果重(g)
     果皮抵抗は、(1)式の各項を計測して求める。果皮抵抗の概算値はモモ300s・m-1、ナシ5000s・m-1、リンゴ20000s・m-1である。
  2.  蒸散量予測モデルを使うと鮮度低下の目安となる果重減少量が推定でき、鮮度保持日数と環境条件との関係が解析できる。相対湿度が高まると蒸散量は直線的に低下するが、鮮度保持日数は飛躍的に高まる(図1)。温度が高まると蒸散量は直線的に上昇し、鮮度保持日数は直線的に低下する(図2)。果皮抵抗は鮮度保持日数に大きく影響し、果皮抵抗の小さい果実では蒸散量が多く、鮮度が低下しやすい。蒸散に対する風速の影響は果皮抵抗の大きい果実では認められない(図3)。しかし、果皮抵抗の小さい果実では風速により蒸散が促進される。
成果の活用面・留意点
  1.  果実の鮮度保持技術の開発・改良に役立つだけでなく、果実の貯蔵性の評価技術としても利用できる。
  2.  モデルは果実温と気温とが等しいと仮定しているので、予冷時のようにその差が大きい場合には、そのまま適用できない。
  3.  ここでの鮮度保持日数は、水分減少だけの評価であり、実際の品質評価には、外観、食味、香りなどを総合的に判断する必要がある。
図表1 212909-1.gif
図表2 212909-2.gif
図表3 212909-3.gif
図表4 212909-4.gif
図表5 212909-5.gif
カテゴリ 鮮度保持技術 評価法 もも 良食味 りんご

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