種子内胚軸再生系を利用したカキの形質転換体作出法の開発

タイトル 種子内胚軸再生系を利用したカキの形質転換体作出法の開発
担当機関 果樹試験場
研究期間 1996~1997
研究担当者
発行年度 1996
要約 カキの種子内胚軸から高率で短期間に植物体を再生する系を開発し、この系を用いてアグロバクテリウム法で効率的に形質転換体を作出した。
背景・ねらい
 交雑育種で導入できる遺伝子は交雑可能な近縁種由来のものに限られているが、カキでは、雄花を着生する品種が少ないことから、極めて狭い範囲に制限されている。また、カキは結実までに時間がかかることから、交雑育種による遺伝子導入には長期間必要である。そこで、より効率的な育種法として、植物に直接有用遺伝子を導入する形質転換法の開発が望まれている。カキの形質転換については既に報告があるが、形質転換率が十分でない、植物体再生に長期間を要する等の問題が残されている。そこでより効率的で、植物体再生の容易な形質転換法の開発を試みた。
成果の内容・特徴
  1.  カキ「西条」の種子内胚軸をゼアチン、4PU、BAの3種類のサイトカイニンを添加した培地で培養した結果、胚軸切断部から直接不定芽が形成され、特にゼアチン2mg/lを添加した場合に最もよく不定芽が形成される(表1)。
  2.  この培養系を用いて、アグロバクテリウム LBA4404/pBI121、LBA4404/pTOK233(日本たばこ産業、小鞠氏より分譲)及びEHA101/pSMAK251(生物研、市川氏より分譲)を用いて形質転換を行ったが、EHA101/pSMAK251株を用いた場合でのみ、再分化してきたシュートでマーカー遺伝子であるGUS遺伝子の発現が認められた(表2)。PCR分析を行った結果、GUS発現の認められた7本のシュートで想定される大きさのバンドの増幅が認められ、遺伝子の導入が確認された(図1)。得られた形質転換シュートはIBA処理によって発根し、完全な形質転換植物体となった。
      以上のように、EHA101/pSMAK251株を用いてカキ種子内胚軸から高率(11.1%)で形質転換体を得ることが出来た。また、カルスを経ずに直接不定芽を形成するため、短期間で形質転換体が得られる。
成果の活用面・留意点
 この方法は,胚軸という雑種由来の材料を用いているため、既存品種への有用遺伝子の導入には利用できないが、交雑育種のプログラムに組み込んだ形での有用遺伝子の導入には利用可能と考えられた。また、高率で短期間に形質転換体が得られることから、カキへの遺伝子導入の実験系としての利用も可能であると考えられた。
図表1 212916-1.gif
図表2 212916-2.gif
図表3 212916-3.gif
カテゴリ 育種 かき たばこ 品種

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