カンキツトリステザウイルス抵抗性育種素材として有望な「サンキツ」

タイトル カンキツトリステザウイルス抵抗性育種素材として有望な「サンキツ」
担当機関 果樹試験場
研究期間 1997~2000
研究担当者 吉田俊雄
発行年度 1997
要約 サンキツはカンキツトリステザウイルス(CTV)に感染するが、ウイルスの増殖程度が低く、また、強毒ウイルスによっても生育阻害がみられないので、CTV抵抗性育種素材として有望である。
背景・ねらい
 CTVは世界のカンキツ栽培地帯に広く分布し、虫媒伝染性でかつ被害が大きいために各国でその対策に苦慮している。恒久的な対策は抵抗性品種の開発である。カラタチは強いCTV抵抗性遺伝子を持ちCTVに対し免疫性を示すが、その雑種後代からは食用となるものが得にくいために、食用品種の開発には使い難い。そこで、食用品種育成に有用な抵抗性育種素材の探索を行った。
成果の内容・特徴
  1.  予備実験によって選抜したサンキツ、‘トロビタ’オレンジ及びサワーオレンジの実生苗に病原性の異なる7種類のCTV分離株を接ぎ木接種し、ポリクローナル抗体を用いたエライザによる吸光度測定から、保毒対照サンプルのCTV濃度を100とする相対濃度を求めた。また、CTV接種苗の新梢の伸長状態と主幹部のステムピッティング発生度を調査した。
  2.  各品種において分離株の間に増殖程度の差異が認められ、また、いずれの分離株についても品種間に増殖程度の差異が認められた。CTVの増殖程度は個々の品種と分離株の組合せで決まることが明らかになった(表1)。
  3.  その中でサンキツは供試したいずれの分離株についてもウイルス濃度が低く、また、ステムピッティングの発生がなく(表2)、生育阻害がみられなかった(表3)ことから、CTV抵抗性品種の育種素材として有用である。
成果の活用面・留意点
  1.  サンキツはCTVに耐病性の台木及び栽培品種の育成のための素材として利用できる。栽培品種を目標とする場合、果実が小さく酸含量が高いので、実用品種との交配を重ねて中間母本を育成する必要がある。
  2.  サンキツの持つCTVに対する耐病性の遺伝関係はまだ明らかでない。
図表1 212941-1.gif
図表2 212941-2.gif
図表3 212941-3.gif
カテゴリ 育種 台木 接ぎ木 抵抗性 抵抗性遺伝子 抵抗性品種 品種 その他のかんきつ

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