ブドウ果粒軟化期における果肉の細胞壁組成と分子量の変化

タイトル ブドウ果粒軟化期における果肉の細胞壁組成と分子量の変化
担当機関 果樹試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者 薬師寺 博
森永邦久
児下佳子
発行年度 1998
要約 ブドウ果粒では、急速に軟化するベレゾーン(水まわり)になると果肉細胞壁中のセルロースとキシログルカンが急速に減少し、後者は分子量分布の低分子化を伴う。ペクチンは遅れて着色開始期以降に低分子化を伴って減少する。
背景・ねらい
ブドウは硬核期後期のベレゾーン(水まわり)に果粒が急速に軟化し、その後果皮の着色が開始する。このため、ベレゾーン期の急速な果粒軟化には細胞壁組成と分子量変化が急速に起こっていると考えられるので、ベレゾーン前、ベレゾーン、着色開始と着色期の果肉の細胞壁を比較検討した。
成果の内容・特徴
  1.  熱水可溶性ペクチンは、ベレゾーンで一時的に増加するがその後減少した。熱水不溶性ペクチンはベレゾーン前とベレゾーンでは大きな変化がなかったが、着色開始期から急速に減少した。ヘミセルロースBとセルロースはベレゾーンになると急激な減少が認められた(表1)。
  2.  熱水可溶性ペクチン、熱水不溶性ペクチン、ヘミセルロースB画分を生育ステージ別に分子量分布を比較した結果、いずれの画分も生育ステージが進行するに伴って分子量が低分子化していることが判明した(データ略)。
  3.  セルロース繊維間の粘性に大きく関与するキシログルカンの分子量分布を比較するために、ヘミセルロースB画分をゲルろ過カラムで分取しヨウ素染色法でキシログルカンを定量した結果、ベレゾーンで急速な低分子化と減少が認められた(図1)。
  4.  これらの結果から、ベレゾーン期の果粒軟化には、セルロースとキシログルカンが低分子化を伴って急速に減少し、ペクチンは遅れて着色開始期以降に低分子化を伴って減少する。
成果の活用面・留意点
ブドウの成熟に深く関与しているベレゾーン期の細胞壁特性が解明されたことで、今後ブドウの成熟生理を解明する上で有効な基礎的な知見として活用できる。
図表1 212965-1.gif
図表2 212965-2.gif
カテゴリ ぶどう

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