白紋羽病菌の PCR による特異的検出法

タイトル 白紋羽病菌の PCR による特異的検出法
担当機関 果樹試験場
研究期間 1998~2000
研究担当者 兼松聡子
大津善弘
発行年度 1998
要約 根部に寄生性を有する6種ロセリニア属菌についてリボソームRNA 遺伝子rDNA)の ITS 領域を増幅し、その塩基配列を比較・解析した。ついで、白紋羽病菌のみを検出し得るプライマーを設計し、PCR法による特異的検出法を開発した。
背景・ねらい
白紋羽病菌(Rosellinia necatrix)は多くの果樹を含む樹木類の根を腐朽させ、枯死にいたらしめる土壌伝染性の糸状菌である。本菌はヨーロッパ、中東、アメリカ等世界中の温帯地域に広く分布しており、ナシ、リンゴ、ブドウ、モモ、キウイフルーツ等の果樹に発生する白紋羽病は大きな生産阻害要因となっている。近年、発病が疑われる樹や発病跡地において、本菌の存在有無を確認するための特異的、かつ迅速な検出・同定手段の開発が強く望まれていた。そこで、PCR
法を用いた本菌の特異的検出法を開発しようとした。
成果の内容・特徴
  1.  根部寄生性の6種ロセリニア属菌について、5.8 S リボソーム RNA をコードする遺伝子を含む DNA を増幅し、その塩基配列を解析した。
  2.  白紋羽病菌 R. necatrix と子実体の形態が類似している R. arcuata は、塩基配列 が互いに一致したことから、同種の可能性が高いと考えられた。
  3.  これら6種の塩基配列を比較検討して、白紋羽病菌のみを検出し得るプライマーを設計した。
  4.  本プライマーを用いた PCR 法により、ロセリニア属菌のうち、R. necatrix と R. arcuataみが特異的に検出され(図1)、一方、ナシ根から分離した糸状菌はまったく検出されなかった(図2)。これらのことから、本法は白紋羽病菌の検出に有効であることが判明した。
成果の活用面・留意点
本菌は 43 科 63 属 170 種に及ぶ極めて広い宿主範囲を持つ病原菌である。このため、本菌の特異的検出法は、本病の生態研究を始め診断・同定等に広く活用できる。
図表1 212969-1.gif
図表2 212969-2.gif
カテゴリ キウイフルーツ ぶどう もも りんご

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