リンゴにおけるナミハダニの薬剤抵抗性の遺伝様式

タイトル リンゴにおけるナミハダニの薬剤抵抗性の遺伝様式
担当機関 果樹試験場
研究期間 1997~1997
研究担当者 坂神泰輔
新美信哉(三共
生物研)
発行年度 1998
要約 リンゴにおけるナミハダニのピリダベン、フェンピロキシメート、テブフェンピラドに対する薬剤抵抗性は、単一の主働遺伝子による完全優性である。伴性遺伝はしない。
背景・ねらい
リンゴでは、ナミハダニの薬剤抵抗性の発達のため、新たな防除剤がつぎつぎに採用されてきた。近年新たに採用された3薬剤は使用年数が少ないにもかかわらず効果が急速に低下し、抵抗性の疑いがもたれている。薬剤抵抗性の遺伝様式が劣性であれば、感受性の回復が期待できる等、抵抗性に対する対処法が異なるため、強度の薬剤抵抗性を示す系統との交雑試験から遺伝様式を推定した。
成果の内容・特徴
  1.  強抵抗性及び感受性系統のナミハダニを用いて正逆交雑、及び戻し交雑を行い、F1 及び B1 個体群の感受性検定から遺伝様式を推定した。
  2.  ピリダベンに対する正逆交雑個体群の感受性は、抵抗性個体群とほぼ同等であり、伴性遺伝を示さず、感受性個体群との戻し交雑からは単一主働遺伝子に支配されていることが推定される(図1、2、表1)。
  3.  フェンピロキシメートに対する正逆交雑個体群の感受性は、抵抗性個体群とほぼ同等であり、伴性遺伝を示さず(表1)、感受性個体群との戻し交雑からは単一主働遺伝子に支配されていることが推定される。
  4.  テブフェンピラドに対する正逆交雑個体群の感受性は、抵抗性個体群とほぼ同等であり、伴性遺伝を示さず(表1)、感受性個体群との戻し交雑からは単一主働遺伝子に支配されていることが推定される。
  5.  この結果から、上記3剤に対する抵抗性の遺伝様式はそれぞれほぼ完全優性で、伴性遺伝しないことが明らかであり、単一の主働遺伝子に支配されていることが推定される。
成果の活用面・留意点
  1.  剤共にその抵抗性は、ほぼ完全優性であることが明らかであるので、効果の低下が明らかになった地域では、急速に抵抗性が発達する。また、使用を中止しても抵抗性の回復は見られない。したがって、早急に別系統の殺ダニ剤による防除を考慮する必要がある。
  2.  交差抵抗性の可能性もあるので、これら3剤は同一群として扱い、同一年度内に重ねて使用しないことが、抵抗性発達を緩和する。
図表1 212973-1.gif
図表2 212973-2.gif
図表3 212973-3.gif
カテゴリ 病害虫 抵抗性 防除 薬剤 りんご

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