タイトル |
ブドウルゴースウッド症状から分離されたブドウAウイルス(GVA)とその診断法 |
担当機関 |
果樹試験場 |
研究期間 |
1988~2000 |
研究担当者 |
今田 準
中畝良二
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発行年度 |
1999 |
要約 |
ブドウルゴースウッド症状から分離されたひも状ウイルスを、宿主範囲、血清反応等の諸性状からブドウAウイルス(GVA)と同定し、血清学的診断法(ELISA)及び遺伝子診断法(RT-PCR)を確立した。
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背景・ねらい |
近年、各地のブドウ産地でブドウ枝幹部に欧米でrugose wood complexと総称されているウイルス性病害に酷似した症状が発生して問題となっている。そこで、本症状の病原を究明するとともに、簡便で再現性の高い、高感度なウイルス検出法の確立を図る。
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成果の内容・特徴 |
- ブドウ台木品種「Teleki5BB」にrugose wood complexのうちのKober stem groovingによると思われる木質部にgrooving 症状(図1)を示す樹からNicotiana benthamianaに汁液伝染するひも状ウイルス(長さ800nm、幅11~12nm)(図2)が分離された。
- 分離されたウイルスの宿主範囲は極めて狭く、試験した5科15種の草本植物のうち、病徴を現したのはN.benthamianaのみで、N.occidentalisに無病徴感染した。
- 免疫電顕法で血清関係を調べた結果、本ウイルスはGVA抗血清と反応したが、ブドウBウイルス(GVB)、ブドウDウイルス(GVD)及びブドウ葉巻随伴ウイルス2(GLRaV-2)の抗血清とは反応しなかった。
- 既報のGVA塩基配列に基づいてプライマー設計し、RT-PCRによりコートタンパク質遺伝子をクローニングした。シーケンス解析の結果、塩基配列及びこれから推定されるアミノ酸配列は既報のGVAのものとそれぞれ89%、97%の相同性を示した。
- Minafra and Hadidi(1994)のGVA特異的プライマーを用いたRT-PCRにより本ウイルスが特異的に検出された(図3)。ブドウ病葉葉柄磨砕液の1,000倍希釈まで検出可能であった。
- Monnet and James(1990)の純化法を一部改変して純化したウイルス標品を家兎に免疫して作製した抗血清は重層法で1,280倍の力価を示し、これから調製したIgG及びconjugateによるDAS-ELISAでは、市販のGVAエライザキットに比較してより高感度にウイルスを検出することができた。
- 以上の結果から、本ウイルスはGVAと同定された。また、ルゴースウッド症状を示す一般栽培品種の多くからELISAあるいはRT-PCRにより本ウイルスが検出されたことから、本邦に発生するルゴースウッド症状には既報のGVBに加えてGVAも関与している可能性が示唆された。
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成果の活用面・留意点 |
本ウイルスを対象としたELISAによる血清学的診断法及びRT-PCRによる遺伝子診断法は無毒母樹の育成、無毒苗の供給に当たってのウイルス保毒検定に利用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
台木
品種
ぶどう
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