カンキツ周縁キメラの効率的作出法

タイトル カンキツ周縁キメラの効率的作出法
担当機関 果樹試験場
研究期間 1991~1993
研究担当者 大津善弘
発行年度 2000
要約 キメラを作る際、カンキツ実生胚軸の寄せ接ぎ部分を、果皮にしたい品種側を斜めに、他を水平にカットし、カット面をホルモン処理し、果皮にしたい品種側の接合部に近い、生育の遅い不定芽を選ぶことで極めて効率的にキメラを作出できる。
背景・ねらい カンキツに病害抵抗性を付与する目的で、食味に優れた福原オレンジ(F)を果肉層に、また、かいよう病にやや強い川野なつだいだい(N)を果皮層に、それぞれ組み込んだ周縁キメラがこれまでに作出されている。しかし、このキメラは 205~600 本に1本の割合でしか得られず、さらに果皮層に特定の品種組織が組み込まれる割合もまた低いことから、期待した品種組織が目的とする組織層に組み込まれたキメラを効率的に作出する技術を開発しようとした。
成果の内容・特徴
  1. ホルモン処理3区のうち、50μMジベレリンA3、1μM 6-ベンジルアデニン、1μMα-ナフタレン酢酸で処理した C 処理区で、7本の寄せ接ぎ胚軸の1本から生育の遅い不定芽が得られた(図1、表1)。
  2. 不定芽から生育させたキメラ候補樹の葉の成分の液体クロマトグラフィーにより、本樹は FとN特徴を併せ持つことが明らかとなり、キメラであると判定された(図2)。
  3. 本キメラ樹の茎の皮の内側組織(起源層 II 及び III、果皮になる組織)の液体クロマトグラムは川野なつだいだいの葉成分と同一パターンであった(図2)。このことから、本キメラ個体は果皮にしたい N 品種が果皮側組織に組み込まれた周縁キメラであることが明らかになった。
  4. 本法によるキメラの作出割合は 1/7~1/21 であり、従来の方法よりも効率的であった。

成果の活用面・留意点
  1. 本法は病害抵抗性個体の作出に活用できると共に、園芸の品種改良にも応用可能である。
  2. キメラの不定芽を選抜する際には、カットした胚軸の接合部に極めて近い、果皮にしたい品種側の組織上に生ずる不定芽を生じたばかりの小さいうちから観察を続ける。注目した不定芽が他の不定芽より生育が遅いことを確かめた後に、他の不定芽を切除し、候補不定芽の生育の促進をはかる。
図表1 213004-1.jpg
図表2 213004-2.jpg
図表3 213004-3.jpg
カテゴリ 病害抵抗性 品種 品種改良 良食味 その他のかんきつ

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