果樹園における鳥害防止用複合威嚇装置

タイトル 果樹園における鳥害防止用複合威嚇装置
担当機関 生物系特定産業技術研究推進機構
研究期間 1998~2000
研究担当者 小川幹雄
久保田太郎
横田昇平
吉永勝一
萬田正治
中西良孝
発行年度 2000
要約 野鳥による果実等の食害を防止するため、視覚及び聴覚に訴える複数刺激を不規則に発生する、慣れの生じにくい鳥害防止用複合威嚇装置である。これを無人誘導式の移動台車に搭載して移動することにより、広い面積を負担することができる。
キーワード 果実等の食害、複数刺激、鳥害防止、無人誘導、移動
背景・ねらい 野鳥の生息環境の変化等に伴って、ヒヨドリやカラスなどによる果実等の食害が拡大しており、その防止対策が求められている。これまでも各種の手法が開発されているが、鳥の学習能力によって効果が持続しないことが問題となっている。そこで、鳥類に対して忌避効果が認められる手段を複合的に利用し、慣れの生じにくい鳥害防止装置を開発した。
成果の内容・特徴
  1. この鳥害防止用複合威嚇装置は、電動式の無人誘導台車上に次のような威嚇手段を備えた人形を搭載し、決められた経路上を、設定したパターンに基づいて走行・停止を繰り返しながら園内を移動する(図1)。
    1. 人形の内部に、卓上コンロ用のカセット式ガスボンベを利用した小型爆音機を備えており、ガスの爆発によって破裂音を発生する(図2)。
    2. 爆発による圧力を利用し、ソフトボール大の玉を人形頭部のポール上に打ち上げる。
    3. 玉の打ち上げから数秒後に、スピーカからディストレスコール(鳥が危険にさらされたときに発する悲鳴)を発生する(図2)。
  2. 無人誘導式の移動台車は、果樹用ケーブル誘導式無人防除機(緊プロ機)と同じシステムで誘導され、夜間の充電により1日の運転が可能である。
  3. 開発した威嚇装置の特徴は以下のとおりである。
    1. 野鳥類には人間を警戒する習性があり、開発した装置では人形が間欠的に移動と停止を行うため、鳥の警戒心を刺激する効果が高い(表1)。
    2. 上方に打ち上げられる玉は、飛来する鳥類に急速に接近するため威嚇効果が高く、打ち上げ時に発する破裂音と、その後のディストレスコールがさらに効果を増長する。
    3. 装置の移動を含めて、視覚及び聴覚的な手段を複合的に利用しているので慣れが生じにくい(図3)。
    4. 果樹用ケーブル誘導式無人防除機を導入している園地では、これを有効に利用できる。
成果の活用面・留意点
  1. 鳥害防止機器の製造業者が、市販化(移動台車を除く)を計画中である。
  2. 簡便で安価な移動手段を検討する必要があり、製造業者を主体に検討を継続する。
  3. ヒヨドリに対しては、より効果的な利用方法を検討する必要がある。
図表1 213008-1.jpg
図表2 213008-2.jpg
図表3 213008-3.jpg
図表4 213008-4.jpg
カテゴリ 病害虫 市販化 鳥害 防除

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