タイトル |
カンキツ類における「無核紀州」に由来する雌性不稔性の遺伝様式 |
担当機関 |
果樹試験場 |
研究期間 |
2001~2005 |
研究担当者 |
根角博久
伊藤祐司
吉岡照高
吉田俊雄
中野睦子
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発行年度 |
2001 |
要約 |
「無核紀州」に由来する無核性は、受精した胚珠の発育が早期に停止し退化するもので、後代に強く遺伝する。その遺伝様式は2対の遺伝子座で推定でき、「ナガミキンカン」を種子親にする場合を除いて容易に無核の雑種個体を得ることができる。
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キーワード |
カンキツ、交雑育種、無核性、雌性不稔、遺伝様式
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背景・ねらい |
種無しであることは、カンキツの経済品種として極めて重要な特性である。効率的に種無し品種を育成するために、「無核紀州」の強い無核性に注目し個体を育成し、その中から「かんきつ中間母本農5号」、「同農6号」を選抜してきた。 ここでは、カンキツの交雑育種におけるそれら中間母本の無核品種育成への有効性を明らかにするとともに、新たな組み合わせにおける無核個体獲得率の推定を行うための知見を得る。
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成果の内容・特徴 |
- かんきつ中間母本農5号」(「リー」×「無核紀州」)、「かんきつ中間母本農6号」(「キングマンダリン」×「無核紀州」)および「サザンイエロー」(「谷川ブンタン」×「無 核紀州」)(図1)の無核性は、受精胚珠が早期に発育停止し退化する「無核紀州」型雌性不稔(図2)であり、健全な種子および大きなしいなは形成されない(図3)。
- これら「無核紀州」型雌性不稔品種の花粉は健全で、有核品種に受粉することで容易に交雑種子を獲得できる。
- カンキツ交雑育種において、健全な種子を有する品種間の交雑組み合わせで得られる個体では、「無核紀州」型雌性不稔の個体は出現しなかった(表1)。
- 健全な種子を有する品種と「無核紀州」型雌性不稔の品種との組み合わせでは、多くの組み合わせで約50%の個体が雌性不稔による無核となった。一方、「ナガミキンカン」を種子親とした場合は雌性不稔個体は出現せず、また「平戸ブンタン」やその後代である「メイポメロ」、興津39号(「ハッサク」×「平戸ブンタン」)では雌性不稔個体の出現率が低かった(表1)。
- その出現率は,受精胚珠の発育異常を引き起こす優性遺伝子(Fs)とその形質発現を 優性に抑制する遺伝子(Is)を仮定し,不稔親の遺伝子型をFsfsisis,健全親の遺伝子型 を--IsIs,fsfsIsis,fsfsisisとして推定できると考えられた(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 花粉親に「無核紀州」型雌性不稔個体を用いることにより、キンカンなどを用いた属間交雑を除き、効率的に無核個体を獲得できることが明らかとなった。
- 「かんきつ中間母本農5号」、「同農6号」、および「サザンイエロー」は、無核品種育成に極めて有効な育種素材である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
きんかん
受粉
はっさく
品種
ぶんたん
その他のかんきつ
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