冷温高湿貯蔵によるカボス、ニホンナシ、オウトウの長期鮮度保持

タイトル 冷温高湿貯蔵によるカボス、ニホンナシ、オウトウの長期鮮度保持
担当機関 果樹試験場
研究期間 1999~2001
研究担当者 朝倉利員
田中敬一
村松 昇
発行年度 2001
要約 冷温高湿度貯蔵では果実組織の水ポテンシャルや細胞膨圧が高く維持され、カボスの緑色保持、低温障害抑制、ニホンナシやオウトウの外観品質保持等に有効であり、これら果実を長期に鮮度保持できる。
キーワード 冷温高湿貯蔵、鮮度保持、果実、水ポテンシャル、膨圧
背景・ねらい 輸入果実に対抗し消費者に鮮度が高く高品質果実を届けるためには、収穫後の貯蔵・流通過程での鮮度低下を極力抑えることが重要である。近年、冷温高湿度領域で数種果実の貯蔵性が飛躍的に高まることが明らかにされている。しかし、その貯蔵法の適用範囲や鮮度保持機構については十分明らかにされていない。
そこで、カボス、ニホンナシ、オウトウを各種温度・湿度で貯蔵し冷温高湿度貯蔵の有効性を確認するとともに、鮮度低下に関連する生理作用と果実の体内水分(水ポテンシャル、細胞膨圧)との関係を明らかにし、冷温高湿度貯蔵法の普及を進める基礎資料とする。
成果の内容・特徴
  1. カボスの好適貯蔵温度・湿度は2℃、98~99%である(表1)。この条件では、果皮の緑色保持にすぐれ(b値が小さい)、果皮障害がほとんど認めらず、果汁歩合も十分である。2℃でも湿度が低い場合には、果皮障害による品質劣化が著しく、5.5℃では果皮障害とともに果皮の黄色化も進む。10℃では果皮障害の発生はないが、果皮が早期に黄色になる。冷温高湿度条件では果皮の水ポテンシャル、細胞膨圧は高く維持され、エチレン生成、呼吸も少ない。
  2. ニホンナシの好適貯蔵温度・湿度は2℃、98%である(表2)。この条件では膜の透過性や呼吸が低く、細胞の膨圧も保持され、このことが萎凋指数が低く外観品質がよいこと、果汁が豊富でジューシーであることに関係する。温度が高い条件では膜透過性、呼吸は高い値を示し、品質劣化しやすい。
  3. オウトウの好適貯蔵温度・湿度は2℃、99%である(図1、2)。この条件では細胞の膨圧が低下しにくく果皮の光沢が優れ、果梗の緑色も保持される。温度が高く湿度が低い条件では早期に光沢が失われ外観品質が低下する。
  4. 冷温高湿貯蔵で果実の鮮度保持効果が高いのは、組織の水ポテンシャルや細胞膨圧が高く維持されることと関連すると考えられる。
  5. 本成果で得られた冷温高湿条件を達成できる冷温高湿庫が開発された。
成果の活用面・留意点
  1. 好適温度は2℃としたが、高湿度維持が可能なら0℃付近まで温度が下がると考えられる。
  2. 長期貯蔵では、果実腐敗防止技術を組み合わせることが必要である。
  3. 条件を達成したモデルは平成14年度、夏に市販される。
図表1 213040-1.jpg
図表2 213040-2.jpg
図表3 213040-3.jpg
図表4 213040-4.gif
図表5 213040-5.gif
図表6 213040-6.gif
図表7 213040-7.gif
カテゴリ おうとう かぼす 長期保存・貯蔵 品質保持

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