わが国に発生する主要なブドウウイルス9種の遺伝子診断法

タイトル わが国に発生する主要なブドウウイルス9種の遺伝子診断法
担当機関 果樹試験場
研究期間 2001~2005
研究担当者 中畝良二
中野正明
島根孝典
発行年度 2001
要約 ブドウウイルスのうち重要性が高いブドウ葉巻随伴ウイルス、ブドウAウイルス、ブドウえそ果ウイルスなど9種についてRT-PCRによる検出法を開発した。本法を利用することによって高感度かつ効率的なブドウウイルスの遺伝子診断が可能である。
キーワード ブドウウイルス、RT-PCR、遺伝子診断
背景・ねらい ブドウウイルス病は樹勢や収量の低下、糖度や色などの品質低下の原因となり、世界的に重要な病害である。近年、海外で多くの種類のブドウウイルスが報告されているが、わが国における発生実態やウイルスと病徴及び被害との関係については明らかになっていない。これらを明らかにし、ウイルス病対策を進めるためには、わが国に発生するブドウウイルスの確実な診断法の開発が不可欠であり、Reverse transcription (RT)-PCRによる効率的かつ高感度な遺伝子診断法を開発する必要がある。
成果の内容・特徴
  1. ブドウからのRT-PCR用サンプルの抽出操作を簡便化することにより、葉柄から短時間のうちに少ないステップで効率よくRT-PCRを行うことができる(図1)。
  2. RT反応時のプライマーとしてランダムプライマー(6 mers)とオリゴd(T)(16mers)を混合使用することにより、検出感度や結果の再現性を向上させることができる。
  3. 9種のブドウウイルス{ブドウ葉巻随伴ウイルス(GLRaV)-1、-2、-3、ブドウAウイルス(GVA)およびブドウBウイルス(GVB)、Grapevine fleck virus (GFkV)、ブドウファンリーフウイルス(GFLV)、Rupestris stem pitting-associated virus(RSPaV)およびブドウえそ果ウイルス(GINV)}のプライマーを設計・選抜し、RT-PCRによる半日間での遺伝子診断を可能とした(図2)。
  4. 本法は複数のウイルスについてのRT反応を同時に行うことができるため、従来の方法に比べ、試薬等に係るコストを大幅に低減できる。
成果の活用面・留意点
  1. これまでの方法では検出できなかったウイルスを含め、わが国に発生し重要と考えられる9種のブドウウイルスを同一条件で短時間のうちに同時に診断できるため、ウイルス検定や発生実態の調査に利用できる。
  2. ブドウウイルスは同じウイルスの中にも多くの変異系統が存在することが示唆されるため、本法で検出できない場合もあり得る。
図表1 213054-1.jpg
図表2 213054-2.jpg
カテゴリ コスト ぶどう

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