タイトル | 合成ピレスロイド抵抗性ワタアブラムシはPCR-RFLP法で判別できる |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2001~2003 |
研究担当者 |
駒崎進吉 土`田聡 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 合成ピレスロイド殺虫剤に抵抗性を発達させたワタアブラムシには、神経伝達に関与するナトリウムチャンネル遺伝子に点突然変異があることが分かった。この変異を利用し、合成ピレスロイド抵抗性個体をPCR-RFLP法で判別することができる。 |
キーワード | ワタアブラムシ、合成ピレスロイド抵抗性、ナトリウムチャンネル |
背景・ねらい | 落葉果樹等に被害を与えるワタアブラムシは各種殺虫剤に対し抵抗性を高度に発達させていることから難防除害虫とされている。薬剤抵抗性の発達要因の一つとして、薬剤の作用点となるタンパクの変異が挙げられる。そこで、有機塩素系あるいは合成ピレスロイド系殺虫剤の作用点であり、抵抗性への関与が指摘されているナトリウムチャンネル遺伝子について遺伝的変異を検出し、抵抗性個体の簡易な判別方法を開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 合成ピレスロイド殺虫剤に対する感受性程度の異なるワタアブラムシのクローン間には、ナトリウムチャンネル遺伝子塩基配列に他の数種抵抗性昆虫と同じ部位に変異が存在する。変異は調査した抵抗性 13 系統と感受性 33 系統で例外なく検出される。 2. 抵抗性を示すクローンでは2通りの塩基配列(タイプ2、3)が確認され、いずれも感受性クローンの配列(タイプ1)を含むヘテロ接合体の状態である(表1)。変異部位を含むコドンは、感受性クローンではメチオニンのみをコードするのに対し、抵抗性クローンではメチオニンとロイシンをコードしている。 3. 既知の縮重プライマーと、新たに設計した特異的プライマーを組み合わせて PCR を行い、制限酵素( SspI 及び BsrI )で消化することにより( PCR-RFLP )、抵抗性クローンの判別が可能である(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 合成ピレスロイド剤抵抗性クローンを個体単位で判別することができることにより、野外個体群における抵抗性遺伝子頻度を把握することができる。 2. 抵抗性の検定に殺虫剤が不要となるとともに、より精度の高い検定が可能となる。 3. 抵抗性個体の発生をあらかじめ把握できることにより、圃場で使用する殺虫剤量を低減することができる。 4. 合成ピレスロイド剤抵抗性に関与する他の要因については未検討である。 |
図表1 | |
図表2 | |
カテゴリ | 病害虫 害虫 抵抗性 抵抗性遺伝子 防除 薬剤 わた |