タイトル | 負イオン/オゾン混合ガス発生装置を装着した冷温高湿貯蔵庫の開発 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2001~2005 |
研究担当者 |
谷村泰宏(三菱電機) 朝倉利員 田中敬一 廣辻淳二(三菱電機) |
発行年度 | 2003 |
要約 | 透湿膜加湿装置、スイング式負イオン/オゾン混合ガス発生装置を装着した貯蔵庫を開発・製品化した。冷温高湿貯蔵により、品質劣化にエチレンが関与する果実や非関与の果実の鮮度を保持できるだけでなく、低温障害を回避できる。また、高湿度条件下で発生するカビは、負イオン/オゾン混合ガスで防止できる。 |
キーワード | 冷温高湿貯蔵庫、負イオン/オゾン混合ガス、鮮度保持、カビ防止 |
背景・ねらい | 果実の品質は鮮度が最も大切なポイントなので、鮮度をいかに保って高品質な果実を消費者に届けるかが流通・貯蔵の課題である。そのために、温度(低温貯蔵等)や気相(CA貯蔵等)の管理に基づく貯蔵が行われている。しかしながら、リンゴ果実の長期貯蔵に使われているCA貯蔵庫は、貯蔵施設が巨大となること、一度、CA貯蔵庫を閉めると出荷の微調整が難しく、市場のニーズに合わせた出荷時期の調整には不向きで、オウトウ、モモ、ウメ等鮮度劣化の激しい果実の貯蔵には実用的ではなかった。そこで、水の動態を制御することに着目し、果樹研究所において、果実の長期貯蔵法を開発し、三菱電機により製品化を行った。 |
成果の内容・特徴 | 1. 果実を長期に鮮度保持するための冷温高湿貯蔵の条件は、低温度でも温度の変動幅が少なく、安定性が保たれる輻射冷却方式である必要がある。また、湿度を成り行きに任せず、かつ、果実表面で結露しない高湿度(95%以上)に保ち、庫内温度に影響を与えず低温状態においても均一に安定的に加湿できる装置が必要である。さらに、青果物に障害を与えることなくカビの発生を防止するため、高濃度の負イオン(10,000個/cm3以上)と低濃度のオゾン(0.1ppm以下)で庫内を均一に満たす必要がある(図1)。(果樹研) 2. 開発・製品化した上記条件を満たす貯蔵庫は、壁面の断熱を強化した冷却パネルによる輻射冷却方式と、低温状態においても安定的に加湿できる透湿膜加湿方式により、従来の冷蔵庫にはない、庫内全域で均一的な冷温高湿環境を実現した。また、透湿膜加湿方式により、水中のカビ等も遮断できる。さらに、スイング式にした負イオン/オゾン混合ガス発生装置を開発し、庫内全域で微生物の増殖抑制効果が得られる(幅3.6m,奥行1.8m,高さ2.6m:図2)。(三菱電機) 3. 細胞の膨圧が高く維持できる高湿度領域で、品質劣化にエチレンが関与するニホンナシ等果実、エチレンの関与しないオウトウ、ブドウ等果実並びに低温で障害の発生するウメ等青果物を鮮度良く長期に貯蔵できる(図3)。(果樹研) |
成果の活用面・留意点 | 1. 負イオン/オゾン混合ガス発生装置を装着した冷温高湿貯蔵庫は、果実に限らず広く多水分食材の貯蔵に応用できる。また、出庫後の結露に注意が必要である。 2. 冷温高湿貯蔵庫に青果物を貯蔵するには開放系のコンテナを利用する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
カテゴリ | うめ おうとう 出荷調整 長期保存・貯蔵 ぶどう もも りんご |