チュウゴクナシ品種における自家不和合性遺伝子

タイトル チュウゴクナシ品種における自家不和合性遺伝子
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 果樹研究所
研究期間 2001~2005
研究担当者 佐藤義彦
間瀬誠子
薬師寺 博
壽 和夫
発行年度 2003
要約 チュウゴクナシ17品種より14種類の自家不和合性遺伝子(S遺伝子)由来DNA断片が検出され、12種類は新規S遺伝子由来で、他の2種類はニホンナシのS size=-1>1-RNase遺伝子及びS size=-1>3 -RNase遺伝子のものと塩基配列が完全に一致する。
キーワード ナシ、自家不和合性、自家不和合性遺伝子、S-RNase遺伝子
背景・ねらい
ナシ遺伝資源の自家不和合性遺伝子(S遺伝子)を明らかにし、これに基づいてナシ属の遺伝的な多様性を解析すると共に、個々の遺伝資源の由来等とS遺伝子との関係からナシ属植物の地理的分化や品種分化等を解析する。そこで、チュウゴクナシは、ニホンナシの成立に深く関わっている可能性があるが、S遺伝子に関する情報がほとんどないので、S遺伝子(S-RNase遺伝子)由来DNA断片の塩基配列を解析し、S遺伝子型を推定する。
成果の内容・特徴
1.
チュウゴクナシ17品種(表1)の幼葉よりDNAを抽出し、Ishimizuら(1999)の報告に基づき、S遺伝子に特異的なFTQQYQ、anti-IIWPNVをプライマーとするPCRにより増幅されるS遺伝子由来DNA断片の塩基配列やアミノ酸配列を解析し、ニホンナシで既知のS遺伝子との相同性等を調査する。
2.
17品種より14種類のDNA断片を検出し(表1)、これらの断片を含むS遺伝子に対し、S size=-1>t1~S size=-1>t14のように便宜的にt(temporary)を付加した仮の遺伝子記号で表記する。
3.
「慈梨」、「南果梨」等の6品種で検出された367bpのS size=-1>t1遺伝子DNA断片はニホンナシのS size=-1>1-RNase遺伝子のものと、「北海早生」で検出された376bpのS size=-1>t8遺伝子DNA断片はS size=-1>3 -RNase遺伝子のものと塩基配列やアミノ酸配列が完全に一致し、ニホンナシとチュウゴクナシの両方に共通のS遺伝子が存在する。
4.
これ以外の12種類のDNA断片はニホンナシで既知のS size=-1>1-~S size=-1>9-RNase遺伝子のものとは塩基配列やアミノ酸配列が異なっており、いずれも新規のS遺伝子である。
5.
「慈梨」、「南果梨」、「恩梨」及び「秋白梨」は一対のS遺伝子がいずれも同じで互いに交雑不和合である可能性が高い(表1)。
6.
上記のプライマーを用いた場合、17品種中11品種では一対のS遺伝子由来のDNA断片が検出されるが、残りの6品種では片方のS遺伝子のみが検出されるだけであり(表1)、さらに新規S遺伝子が存在する可能性がある。
成果の活用面・留意点 1.
チュウゴクナシ品種を用いた育種を計画する場合、S遺伝子型を十分考慮して交雑組み合わせを決める。特に、S size=-1>t1(=S size=-1>1)遺伝子を有する品種を種子親にして、S size=-1>4Sm遺伝子を有する個体の花粉を交雑しても原則としてその後代に自家和合性品種は出現しないので十分注意する。
2.
チュウゴクナシのS遺伝子型は、品種識別において重要な指標として利用できる。
図表1 213099-1.jpg
カテゴリ 育種 遺伝資源 自家和合性品種 品種

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