タイトル | 支線式の傾斜地果樹用多目的モノレール |
---|---|
担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 | 1998~2004 |
研究担当者 |
安食恵治 久保田興太郎 久保田太郎 金光幹雄 山内嘉人(有光工業㈱) 山本聡史 小川幹雄 大塚豊史(光永産業㈱) 長木 司 田中健治(㈱共立) 藤井初郎(モノレール工業㈱) 藤原 惠(㈱ニッカリ) 米山徹朗(米山工業㈱) |
発行年度 | 2004 |
要約 | 斜面上下方向の本線軌条に、等高線方向に配置した支線軌条を組み合わせ、薬液散布や運搬等を行うモノレールである。薬液散布は遠隔操作で22a/h程度の能率で行うことができる。収穫物の運搬も能率的に行うことができ、労働負担が大幅に軽減される。 |
キーワード | 果樹、モノレール、薬液散布、運搬、肥料散布 |
背景・ねらい | カンキツ園をはじめとする急傾斜地果樹園では、大部分の作業を人力に頼っている。急傾斜地で動力噴霧機から園内にホースを延ばしての人力による薬液散布作業は重労働である。また、収穫物や農業資材の運搬は、傾斜上下方向に架設されたモノレールが利用されているものの、等高線方向の運搬は一輪車程度しか使えず、能率が低く労働負担の大きい作業になっている。そこで、傾斜地果樹園での薬液散布作業、収穫物や資材の運搬作業等の省力化を図るため、支線式の多目的モノレールを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 等高線方向に架設した支線軌条と上下方向の本線軌条で構成される(図1)。支線軌条は50mm×50mmの角パイプで、電動式の支線けん引車が薬液散布車、肥料散布車等をけん引して作業を行う(表1)。支線けん引車は、遠隔操作により、前後進及び停止する。 2. 本線軌条は、本線けん引車とターンテーブル方式の乗移り台車が走行する。乗移り台車は、支線けん引車等を載せて、支線軌条間及び本線軌条末端までの移動を行う。 3. 薬液散布車は、送風機、噴頭、ホース巻取り機等からなる。噴頭は3分割毎に噴霧の有無を遠隔操作でき、噴頭の左右回動も遠隔操作できる。薬液散布作業は、軌条の片側ずつ行い、1往復で軌条の両側に薬液を散布する(図1、図3-a)。走行速度は0.37m/sで、散布量370L/10aの時の作業能率は22a/h程度である。なお、感水紙による平均薬液付着率は80%程度で、薬液の付着が良好である。薬液は、園地の本線軌条末端付近に駐車したトラック等に搭載した薬液タンクとポンプから、ホース巻取り機を経由して、薬液散布車に供給される。 4. 支線運搬車の積載量は各々80kgで、計160kgである(図3-b、表1)。収穫箱の等高線方向の運搬作業は、作業者が収穫箱を抱えて運ぶ作業が無くなり、楽で高能率である(図2)。また、支線運搬車にセット動噴とタンクを積載しての除草剤散布や、粉砕機を積載してせん定枝粉砕処理にも利用できる。 5. 肥料散布車は、送風機、噴口、走行速度連動型肥料繰出し装置等からなる(図3-c)。施肥量は化成肥料で30~150kg/10a、有機配合肥料で50~150kg/10aの範囲で調節が可能で、散布幅は3~6mであり、作業能率は20a/h程度である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 高性能農業機械実用化促進事業に移行し、市販化が予定されている。 2. 最大傾斜35゜以下の果樹園に設置可能である。 3. 支線軌条の設置間隔は8m以内とする。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 肥料 病害虫 遠隔操作 傾斜地 市販化 省力化 除草剤 施肥 肥料散布 その他のかんきつ |