タイトル | リンゴ斑点落葉病に耐病性の突然変異新品種「放育印度」 |
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担当機関 | 生物研 |
研究期間 | 1992~2004 |
研究担当者 |
伊藤祐司 吉岡藤治 増田哲男 |
発行年度 | 2004 |
要約 | 「放育印度」は「印度」にガンマ線を急照射して、選抜したリンゴ斑点落葉病耐病性の突然変異品種で、その耐病性程度は主要品種の「ふじ」並みで、「ふじ」に準じた防除基準で栽培できる。果実形態及び品質は原品種「印度」との差異が認められない。 |
キーワード | リンゴ、印度、ガンマ線、急照射、突然変異、リンゴ斑点落葉病、耐病性 |
背景・ねらい | 木本作物の各種病害耐病性に着目した突然変異誘発・選抜技術を開発し、新規素材を作出する。特にリンゴの主要病害であるリンゴ斑点落葉病にり病性の品種では、薬剤散布回数の低減のため耐病性が付与された品種・系統の作出が期待されている。そこでリンゴ斑点落葉病の高度感受性品種「印度」に、ガンマ線を照射して耐病性のみが変異した突然変異系統を育成する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 1992年(平成4年)に農業生物資源研究所放射線育種場のガンマールームで「印度」の茎頂培養由来の培養植物体に線量率5Gy/hで総線量80Gyのガンマ線を照射し、増殖した後にリンゴ斑点落葉病菌の培養液をろ過した粗毒素を用いた選抜と増殖を繰り返して、1個体の毒素非感受性(耐病性)突然変異個体を選抜した。 2. 選抜した突然変異体を馴化して高接ぎを行い、それを原木とした。2001年(平成13年)から3年間特性評価を行い、リンゴ斑点落葉病耐病性は原品種である「印度」より強く、それ以外の形質には大きな差異がないことを確認したので、2004年(平成16年)12月に種苗法に基づく品種登録出願を行った。 3. リンゴ斑点落葉病耐病性程度について、精製した毒素AMトキシンを用いて検定すると、原品種「印度」より明らかに強い耐病性を示す(表1)。その耐病性程度は「ふじ」並みである。圃場では、「ふじ」と同じ防除基準での栽培でほとんど病斑を認めない。 4. 樹性・果実特性等については、果実の形状、品質、熟期は原品種「印度」とほぼ同じである。なお、原品種と比べて花粉稔性が低いものの、花粉を主要品種に受粉した時の結実率は60%以上あり、大きな問題は認められない(図1、表2、表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 観光農園等で「印度」を栽培する場合には、「ふじ」に準じた防除基準での栽培が可能な本品種の導入が考えられる。 2. リンゴ斑点落葉病以外の病害に対する耐病性は変化していないので、適切な防除が必要である。 3. 耐病性が低下する復帰突然変異は認められていないが、万一、原品種並みの斑点落葉病感受性の枝が生じた場合には直ちに剪除する必要がある。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 病害虫 育種 受粉 新品種 高接ぎ 品種 防除 薬剤 りんご |