タイトル |
ブドウウイルス病診断における簡易試料調製法の開発 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
中畝良二
中野正明
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発行年度 |
2006 |
要約 |
ブドウに感染するウイルスを検出するための葉柄や休眠枝等の磨砕試料を試料破砕機やサンドペーパーを利用して容易に調製することができる。本法を利用することによって、RT-PCRやエライザによる通年のウイルス診断が簡便に実施可能である。
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キーワード |
ブドウ、ウイルス、診断法、休眠枝、サンドペーパー、試料破砕機
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背景・ねらい |
近年、RT-PCRの利用により、ブドウに感染するウイルスを高精度かつ高感度で検出することが可能となり、無毒苗供給等のために多検体のウイルス診断が必要とされている。しかし、従来の乳鉢等を用いた方法で多数の検体から磨砕試料を調製するには手間がかかり、特に休眠枝のような木質試料の調製には多大な時間と労力が必要である。そこで、年間を通じて多検体の診断を容易に行うため、葉柄や休眠枝等の部位に応じた簡便な試料調製法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 休眠枝の場合は♯80前後のサンドペーパーを利用することにより、高価な機器を使用せず、診断用磨砕試料を短時間で容易に調製することができる(図1)。枝からの試料調製にはサンドペーパー法が適する。
- 葉柄等からは試料破砕機(TissueLyser)を利用して、最大で48試料を同時に短時間で調製することができる(図2)。
- 両方法で調製した試料から、世界的に検出頻度が高いウイルスを含む9種のウイルス(ブドウ葉巻随伴ウイルス1、ブドウ葉巻随伴ウイルス2、ブドウ葉巻随伴ウイルス3、ブドウAウイルス、ブドウBウイルス、Rupestris stem pitting-associated virus、Grapevine fleck virus、ブドウファンリーフウイルスおよびブドウえそ果ウイルス)をRT-PCRで検出できる。
- エライザ用の磨砕バッファーを用いることで、エライザによるウイルスの検出にも応用できる。
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成果の活用面・留意点 |
- これまで多大な時間と労力を必要としていたウイルス診断用のブドウ試料を簡易に調製することができ、通年のウイルス診断に利用できる。
- 本成果では、試料破砕機としてTissueLyserを使用したが、同等の機能を有する数種類の機器が発売されており、それらも使用可能である。
- 試料調製後のRT-PCRによるウイルス検出法については平成13年度果樹研究成果情報 http://fruit.naro.affrc.go.jp/seika/2001/fruit01010.html.および発表論文(Nakaune and Nakano, 2006)を参照のこと。
- 本法はブドウのウイルス診断用に開発したものであるが、他の果樹や作物における試料調製にも応用可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
ぶどう
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