Colletotrichum acutatumβ-チューブリン1遺伝子過剰発現によるベノミル耐性

タイトル Colletotrichum acutatumβ-チューブリン1遺伝子過剰発現によるベノミル耐性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2006~2007
研究担当者 中畝良二
中野正明
発行年度 2007
要約  植物病原糸状菌Colletotrichum acutatumのベノミル耐性は、ロイシンジッパータンパク質CaBEN1によって制御されるβ-チューブリン1遺伝子の過剰発現に起因している。
キーワード Colletotrichum acutatum、ベノミル耐性、β-チューブリン1遺伝子、過剰発現
背景・ねらい  果樹等に炭疽病を引き起こす重要植物病原糸状菌であるColletotrichum acutatumは種の特徴としてベノミル耐性を示す。これまでに多くの菌類でベノミル耐性機構について研究され、β-チューブリンにおける1アミノ酸置換が原因の一つであることが明らかにされてきた。一方、本菌のベノミル耐性機構はそれとは異なることが示唆されている。そこで、C. acutatumのベノミル感受性変異株を作製するとともに、ベノミル耐性に関わる遺伝子を単離・解析して、本菌のベノミル耐性機構を解明する。
成果の内容・特徴
  1. ベノミル耐性を示す野生株CAB03(ブドウ分離株)と野生株へのマーカー遺伝子挿入法により作製したベノミル感受性変異株CAT7-150のβ-チューブリン遺伝子(CaTUB1およびCaTUB2)に配列の違いは認められない。
  2. CAT7-150株からプラスミドレスキュー法で単離したベノミル耐性関連遺伝子CaBEN1は818アミノ酸からなるロイシンジッパータンパク質をコードすると推定される。野生株CAB03のCaBEN1遺伝子を破壊するとベノミル感受性が再現される(図1)。
  3. 野生株のCaTUB1遺伝子はベノミル処理によって発現が顕著に誘導されるが、CaBEN1遺伝子破壊株ではCaTUB1遺伝子のベノミルによる誘導的発現が観察されない(図2)。このことからロイシンジッパータンパク質CaBEN1がCaTUB1遺伝子のベノミルによる誘導的発現に関わっていると推測される。
  4. CaBEN1遺伝子破壊株にCaTUB1遺伝子過剰発現ベクターpCaTUB1-OE1を導入した形質転換株(CAB03Δben1-OE1および-OE2)を作出し、CaTUB1遺伝子を過剰発現させるとベノミル耐性が回復する(図3、表1)。このことはC. acutatumのベノミル耐性がCaTUB1遺伝子の過剰発現に起因することを示している。
成果の活用面・留意点
  1. β-チューブリン1遺伝子の過剰発現によるベノミル耐性機構はこれまでに例がなく世界初の報告である。
  2. 他の菌類におけるβ-チューブリン1遺伝子過剰発現機構については今後の研究が必要である。
図表1 213218-1.jpg
図表2 213218-2.jpg
図表3 213218-3.jpg
図表4 213218-4.gif
カテゴリ 炭疽病 ぶどう

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