リンゴの収穫後の軟化程度は粉質化の発生と果肉膨圧の減少程度により決まる

タイトル リンゴの収穫後の軟化程度は粉質化の発生と果肉膨圧の減少程度により決まる
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 2006~2008
研究担当者 阿部和幸
岩波 宏
古藤田信博
森谷茂樹
発行年度 2008
要約  リンゴは、収穫後に粉質化する品種としない品種に大別され、粉質化する品種はいずれも著しく軟化する。粉質化しない品種は、果肉硬度の減少と果肉細胞の膨圧の減少とが連動しており、果肉膨圧の減少速度が緩やかな品種ほど軟化も緩やかである。
キーワード リンゴ、日持ち性、軟化速度、粉質化、膨圧
背景・ねらい
  収穫後の軟化は日持ち性を決定する主要な要因であり、「ふじ」のような軟化しにくい品種の育成が望まれている。リンゴ果実の軟化には、果肉組織の隣接する細胞同士の接着がゆるんで細胞がばらばらになる(粉質化する)ことで軟化する場合と、粉質化が見られずに軟化する場合があることが知られており、いずれの場合も果肉細胞の膨圧が重要な役割を演じていると考えられている。そこで、収穫後の軟化の品種間差異を粉質化の発生と膨圧の変化との関係から明らかにする。
成果の内容・特徴 1.粉質化の簡便な評価方法である果肉ディスク振とう法(スクロース溶液中での果肉ディスクの振とう前後の重量変化から、細胞同士の接着の程度を数値化する方法)により粉質化程度(%)を評価すると、リンゴは、収穫後に粉質化が激しく生じる品種と、わずかにしか生じない品種とに大きく分かれる(図1)。
2.果肉細胞の膨圧は、収穫後速やかに減少を始める。粉質化する品種はいずれも軟化は速いが、果肉細胞の膨圧の減少速度とは関係がない(図2)。
3.粉質化しない品種においては、果肉硬度の減少は膨圧の減少と連動しており、果肉膨圧の減少速度が緩やかな品種ほど、軟化速度も緩やかである(図3)。
4.粉質化する品種は、膨圧の減少速度にかかわらず軟化が著しく、日持ち性は劣る。粉質化しない品種では、膨圧の減少速度が速いと軟化しやすいが、緩やかだと軟化しにくく日持ち性に優れる。収穫後の軟化のしやすさは、主に粉質化発生の程度と膨圧の減少速度の相互作用により決定される(表1)。
成果の活用面・留意点
1.品種ごとに軟化の要因を明らかにすることで、軟化しにくい品種を育成する際の交雑親の選定に役立つ。
2.粉質化する品種は、いずれの品種も軟化が著しいため、見かけ上の硬度変化からだけでは膨圧の減少速度を推定できない。したがって、粉質化する品種の中から膨圧の減少速度が緩やかな品種を選ぶ場合には、収穫後の膨圧の変化を直接測定する必要がある。
3.膨圧は、サイクロメーター法により、1果から2カ所の果肉サンプルを切り出して測定し、その平均値で表す。
図表1 213233-1.gif
図表2 213233-2.gif
図表3 213233-3.gif
図表4 213233-4.gif
カテゴリ ばら 品種 りんご

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