タイトル | 外観健全な温州みかんの成熟果実はカンキツかいよう病の伝染源にならない |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2006~2008 |
研究担当者 |
塩谷 浩 秋田 滋 |
発行年度 | 2008 |
要約 | カンキツかいよう病が発生した園地から収穫した温州みかん果実表面から病原細菌が分離されない。また、本細菌で汚染した果実をネーブルオレンジの樹上に設置しても発病しない。したがって、外観健全な温州みかんの成熟果実はカンキツかいよう病の伝染源にならない。 |
キーワード | カンキツかいよう病、温州みかん果実、輸出検疫 |
背景・ねらい | 日本産温州みかん果実の現行の対アメリカ合衆国輸出検疫措置は、1)400 mの緩衝地帯に囲まれたカンキツかいよう病無病園地の指定、2)緩衝地帯及び輸出園地への温州みかん以外のカンキツ類の栽植制限、3)ファージテストおよび4)果実の表面殺菌からなり、大きな輸出制限になっている。そこで、温州みかん果実の輸出検疫措置緩和を要求するため、カンキツかいよう病発生園地から収穫された病徴のない成熟した温州みかん果実が本病の伝染源にならないことを科学的に証明する。 |
成果の内容・特徴 | 1.カンキツかいよう病が発生した 「青島温州」栽培園地(表1)より収穫した外観健全な果実および病斑が形成された果実の全てを対象に、超音波洗浄して得た洗浄液から本病原細菌は検出されない。 2.カンキツかいよう病に極めて罹りやすいネーブルオレンジの露地栽培樹の樹冠上に本病原細菌で果面を汚染した温州みかん果実を樹冠上に設置しても、設置果実の直下および周辺の葉と枝に汚染細菌株による発病が認められない(表2)。さらに設置果実の直下から回収した雨水からも汚染細菌株は検出されない(表3)。 3.カンキツかいよう病菌を付傷接種した温州みかんの葉では、ネーブルオレンジの場合と比較して病原細菌の増殖が劣るとともに接種後16日目以降は減少に転じる(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.温州みかん果実の輸出における検疫措置の緩和に向けての基礎資料として活用が期待される。 2.温州みかんよりもかいよう病抵抗性の劣るカンキツ品種については別途、果実による伝染の可能性を検証する必要がある。 3.幼果期に果皮にカンキツかいよう病菌を接種して病斑を形成させた温州みかん果実では成熟後、約20%の病斑で低濃度(病斑あたり約1000CFU)ながらも病斑組織内で病原細菌が生存する。 |
図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 温州みかん 抵抗性 ネーブル 品種 輸出 その他のかんきつ |