タイトル | ルゴースウッド症状を示すブドウからはRupestris stem pitting-associated virusが必ず検出される |
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担当機関 | (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所 |
研究期間 | 2006~2008 |
研究担当者 |
中畝良二 中野正明 |
発行年度 | 2008 |
要約 | ルゴースウッド症状を示すピオーネおよび巨峰からは必ずRupestris stem pitting-associated virus(RSPaV)が検出され、本症状との関連が強く示唆される。また、本ウイルスには遺伝的に異なる系統が少なくとも4つ存在する。 |
キーワード | ブドウ、Rupestris stem pitting-associated virus、ルゴースウッド、遺伝的変異系統 |
背景・ねらい | 国内で栽培されている主要品種のピオーネおよび巨峰において、枝幹木部にステムピッティング(穿孔)やステムグルービング(条溝)などが発生して表面が粗皮となる原因不明のルゴースウッド(RW)症状が多発していることから、RW症状の有無と保毒ウイルスの関係を調査し、原因を究明する。また、診断法の精度や感度の向上を目的として、国内のブドウから検出されるRupestris stem pitting-associated virus (RSPaV)の外被タンパク質(CP)遺伝子の塩基配列に基づいた系統解析を行う。 |
成果の内容・特徴 | 1.調査したRW症状(図1)を呈する57樹(ピオーネ・巨峰)の全てからRSPaVが検出され、本ウイルスがRW症状の病原である可能性が最も高い(表1)。 2.RSPaV以外のウイルスでは、ブドウ葉巻随伴ウイルス(GLRaV)1、GLRaV-2、GLRaV-3、ブドウBウイルス(GVB)、Grapevine fleck virus(GFkV)およびGrapevine asteroid mosaic-associated virus(GAMaV)も検出されるが、これらのウイルスとRW症状との明確な関連は認められない(表1)。 3.国内のブドウには遺伝的に多様なRSPaVが広く分布しており、それらはCP遺伝子の塩基配列に基づいて少なくとも4系統に分けられる(図2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.RSPaVをRW症状の病原として特定するためには、戻し接種による症状の再現が必要である。 2.これまでに開発した診断法(Nakaune and Nakano, 2006)がRSPaVの診断に有効であり、見いだされた4系統のすべてを検出できる。 3.RSPaVの遺伝的変異と病原性の強弱との関係についての解析に利用できる。 4.今後、新たな遺伝的変異系統が見いだされる可能性がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
カテゴリ | 品種 ぶどう |