果実病害に強い早生の生食用パインアップル新品種「パインアップル沖縄10号」

タイトル 果実病害に強い早生の生食用パインアップル新品種「パインアップル沖縄10号」
担当機関 沖縄農研セ
研究期間 1989~2008
研究担当者 正田守幸
竹内誠人
池宮秀和
粟国佳史
與那嶺要
高原利雄
金城鉄男
岩本由美
出花幸之介
新崎正雄
井上裕嗣
比嘉正和
上地邦彦
當間ひろの
大城和久
仲宗根福則
添盛浩
喜納兼二
発行年度 2008
要約  生食用パインアップル新品種「パインアップル沖縄10号」は「N67-10」に「クリームパイン」を交雑して育成した早生の大果品種であり、花樟病や黒目病などの果実病害の発生が少なく、高糖低酸で食味が良く、「ボゴール」並の日持ち性がある。
キーワード パインアップル、新品種、早生、大果、花樟病、黒目病
背景・ねらい
  パインアップル生産は、近年、単価の高い生食用果実の割合が増加しており、「ボゴール」、「ソフトタッチ」などの生食用品種の栽培面積が増加している。これら生食用品種は果実品質が高く食味は良いものの、果実が小さく、黒目病など果実病害が発生しやすい欠点がある。そこで、既存品種にくらべ果実病害の発生が少なく大果で、「N67-10」より早生であり、「ボゴール」程度の日持ち性を持つ新品種を育成する。
成果の内容・特徴 1.「パインアップル沖縄10号」は、1989年に沖縄県農業試験場名護支場(現:沖縄県農業研究センター名護支所)において、「N67-10」に「クリームパイン」を交雑して育成した品種である。2000年(平成12年)より第3回パインアップル系統適応性検定試験に供試し、沖縄本島北部と石垣島で地域適応性を検討した結果、2008年(平成20年)の果樹系統適応性・特性検定試験成績検討会(常緑果樹)において、優秀性が認められ、パインアップル生食用品種として品種登録にふさわしいとの結論が得られた。
2.「パインアップル沖縄10号」の自然夏実における収穫時期は7月下旬で、「N67-10」に比べ20日程度早く、早生品種の「ボゴール」と同時期である。えい芽の発生が4.9本と多く、夏植えの種苗確保が容易である(表1)。
3.果実はたる形で、果皮色は橙色、果肉色は黄白である( 図1(左)、図1(右))。自然夏実における果重は1,174gと「ボゴール」、「ソフトタッチ」より大果で、「N67-10」と同程度であるが、果高が高く、玉張りも良い。果肉の硬さは中程度であるが、果汁が多く、高糖低酸で食味が良い(表2)。また、緑熟果の発生割合が少なく、収穫適期は着色歩合で容易に判断できる。
4.「パインアップル沖縄10号」は「ボゴール」、「ソフトタッチ」に比べ黒目病の発生が少なく、花樟病の発生は認められない(表2)。
5.室温貯蔵での「パインアップル沖縄10号」は「ボゴール」に比べ糖酸比の低下が緩やかで、食味の低下も少ない。冷蔵貯蔵においては褐斑症の発生が少ない。果実品質や果重減少率などから日持ち性は「ボゴール」と同程度とみられる(表3)。
成果の活用面・留意点
1.パインアップル栽培地域の露地栽培に適する。
2.吸芽の発生が少ないため1回収穫の作型が望ましい。
3.冠えい芽が発生するため、収穫前に除去し、外観を整える必要がある。
4.夏植え-自然夏実の作型での出蕾率が低いため、大苗を定植して収量を確保する。
5.エテホンによる花芽誘導効果は高く、収穫時期の調整が容易である。
図表1 213252-1.gif
図表2 213252-2.gif
図表3 213252-3.gif
図表4 213252-4.gif
カテゴリ くり 栽培技術 新品種 品種 良食味

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