タイトル | クロタラリア属植物によるダイズシストセンチュウ密度低減 |
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担当機関 | (独)農業技術研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 | 1991~1995 |
研究担当者 |
串田篤彦 上田康郎 植原健人 諏訪順子 百田洋二 |
発行年度 | 2001 |
要約 | Crotalaria junceaおよびC.spectabilisを栽培するとダイズシストセンチュウの密度は低下する。安定した線虫密度低減効果を得るには充分な生育量の確保が重要で、C.junceaでは1.5t/10a(生草重)以上が必要である。 |
キーワード | ダイズシストセンチュウ、Crotalaria juncea、C.spectabilis、密度低減 |
背景・ねらい | Crotalaria junceaおよびC.spectabilis栽培土壌滲出液にはダイズシストセンチュウのふ化率を高める効果があるが、両植物は本線虫の寄主ではないため、ふ化した幼虫は根に侵入するものの、やがて死滅する。そこで、これらクロタラリア属植物をダイズシストセンチュウ生息畑に栽培した場合の線虫密度低減効果を確認し、密度低減技術としての有効性を検討する。 |
成果の内容・特徴 | 1. C.junceaを栽培するとダイズシストセンチュウ密度は大きく低下する(表1,2)。 2. C.junceaは生育量が少ないとダイズシストセンチュウ密度低減効果は低下する(図1)。したがって、安定した密度低減効果を確保するには、生育量を十分に得ることが重要であり、本種の場合は1.5t/10a以上の収量(生草重)が必要である。なお、生育量は散播よりも条播で優れる傾向があり、線虫密度低減効果にも同様の傾向がある(表1,図1)。 3. C.spectabilisを栽培すると、ダイズシストセンチュウ密度は休耕に比べて低下する(表2)。しかし、札幌では生育の年次間差が大きく、生育が劣る場合にはダイズシストセンチュウ密度低減効果は低く留まり、効果が不安定である(表1)。なお、C.spectabilis の生育に播種法間で差は認められない。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 一般的にクロタラリア属植物の生育には温暖条件が適する。C.junceaの寒冷地(札幌)での生育量は温暖地での標準的生育量に比べて劣るものの、約80%の高いダイズシストセンチュウ密度低減が認められることから、C.junceaは寒地においても本線虫の密度低減に利用できる。しかしながらC.spectabilisの生育にはより高温が必要であり、寒地では安定した生育量の確保が難しいので、利用に適さない。 2. C.junceaは連作した場合、生育が非常に劣るので(表1,2001年①)、連作は避ける必要がある。 3. C.junceaは、キタネグサレセンチュウをよく増殖させるため、後作に根菜類などの感受性作物を栽培する場合は、予めその密度を把握する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 寒地 大豆 播種 |