タイトル |
SPF豚農場の清浄度維持技術 |
担当機関 |
ホクレン |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
仙名和浩
平井綱雄
尾上貞雄
岩瀬俊雄
高谷和宏
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発行年度 |
2002 |
要約 |
SPF豚農場の清浄度維持の重要管理点は、SPF変換方法、種豚の導入元、農場設備・防疫規制の徹底の3点である。SPF豚農場であっても、より高い清浄度を維持することにより、さらに高い生産性が実現できる。清浄度維持のためのチェック体制整備に関する指針を示す。
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キーワード |
SPF豚、清浄度、生産性、重要管理点、PRRS
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背景・ねらい |
SPF豚農場が高い生産性と高品質な豚肉の生産を持続させるためには、疾病清浄度を一定水準以上に維持する必要がある。そこで、北海道内のSPF豚農場の実態をもとに、清浄度維持の重要管理点を明らかにし、高位生産を実現するために目指すべき清浄度水準を示す。また、疾病侵入が認められた場合の清浄度回復手法を検討するとともに、効果的に清浄度を維持するための指針を作成する。
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成果の内容・特徴 |
- 北海道内のSPF豚農場の間には、日本SPF豚協会・認定規則にしたがって計測した肺病変指数または萎縮性鼻炎(AR)病変指数の平均値で示される清浄度の差が認められる(表1)。この農場間の清浄度差は、SPF変換時の既存豚舎・敷地の処理法、複数農場からのSPF豚の導入、農場設備および防疫管理の徹底度のいずれかに起因している。したがって、これら3項目は、SPF豚農場の清浄度維持のための重要管理点と考えられる(表2)。
- SPF豚農場の生産性は、いずれの農場もコンベンショナル豚農場に比べて高い。しかし、肺病変およびAR病変の平均指数を小さくすることにより、農場飼料要求率、肉豚事故率および肉豚1頭あたりの薬品費のさらなる改善が期待できる(表1)。したがって、より高い生産性を実現するためには、農場清浄度も高水準で維持すべきである。
- 肺病変およびAR病変の平均指数が平均以下のSPF豚農場では、Mycoplasma hyopneumoniae(Mhp)、毒素産生性Pasteurella multocida、Haemophilus parasuis、Actinobacillus pleuropneumoniae 血清型2型および豚繁殖呼吸障害症候群(PRRS)ウィルスは陰性である。したがって、高位生産のためには、こうした病原微生物についても陰性状態を維持すべきである。
- PRRSウィルスの浸潤が認められたSPF豚農場において、低コストで建設可能な発酵床豚舎に離乳子豚を移動し、既存の子豚期豚舎をオールアウトすることにより、同ウィルスの清浄化がはかられる(図1)。
- 1において示した重要管理点をもとに、定期的な農場防疫体制の点検および病原微生物の浸潤検査を取り入れた清浄度維持管理指針を作成した。同指針をSPF豚農場において実施することにより、陰性状態を維持している病原微生物が明確になり、農場防疫の適切さの確認が可能となる。また、防疫意識および農場内衛生管理の向上等の効果が期待できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 現行SPF豚農場における清浄度維持対策の改善に利用できる。
- 新設SPF豚農場において、より高い清浄度での農場開設と長期維持が可能となる。
- 発酵床豚舎を用いたPRRS対策は、コンベンショナル豚農場での応用も可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
低コスト
繁殖性改善
豚
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