草地酪農地帯における林帯の水質浄化機能

タイトル 草地酪農地帯における林帯の水質浄化機能
担当機関 開土研
研究期間 1999~2002
研究担当者 中村和正
石田哲也
酒井治
発行年度 2002
要約 北海道東部の草地酪農地域における排水路および小河川沿いの林帯は、土壌凍結期には水質浄化機能を持たない。非凍結期の降雨時には表面流が林帯で浸透し、流出水中の全窒素と全リンをそれぞれ概ね20%低下させ、浄化機能を示す。
キーワード 林帯、草地、水質、窒素、リン、土壌凍結
背景・ねらい
酪農地帯の水質保全のためには、点源汚濁負荷の軽減だけでなく、農地へ施用された家畜糞尿、化学肥料などの肥料養分の水系への流入も回避する必要がある。既往の研究では、面源負荷対策として排水路沿いの緩衝帯が有効であるいわれている。しかし、その水質浄化機能は、地形・土壌・水文・気象など地域特性と密接な関係があるため、機能評価のためにはこれらの特性が異なるそれぞれの地域で現地調査が必要である。このような背景から、大規模な草地酪農が営まれている北海道東部において、排水路沿いに林帯を有する草地斜面での降雨流出機構調査とこのような林帯の有無で条件の異なる2カ所の流域(林帯あり流域および林帯なし流域)での水質比較を行い、林帯の有する水質浄化機能を評価する。
成果の内容・特徴 1.
草地の浸透能は10mm/h前後と小さいのに対し、林帯の浸透能は数百mm/hと大きいため(図-1)、降雨時に草地で生じる表面流は林帯地表面で浸透し、濾過作用を受ける。
2.
調査地域には火山灰が分布し、深さ1.5m付近に難透水層が存在する。それゆえに林帯地表面で浸透した雨水は、難透水層上に貯留され、傾斜方向に徐々に移動し、平均2~3日の滞留時間を有する中間流出水として排水路に流入する。
3.
林帯あり流域と林帯なし流域(図-2)では、単位流域面積あたり養分投入量や平水時の水質(表-1)に大きな差はなく、降雨流出時の水質を比較するのに適した流域である。
4.
林帯あり流域と林帯なし流域の間で降雨流出水の全窒素と全リンの濃度を比べると、非凍結期の比流量(面積あたりの流量)が約300 l/s/km2以上の場合には両流域の水質に明確な違いはみられないが、この値未満の場合には林帯あり流域の方が低い傾向を示す(図-3、表-2)。しかし、土壌凍結期には、林帯での浄化機能が発揮されず、林帯あり流域の方がこれらの濃度が高くなることがある(図-4)。
5.
非凍結期のこれらの流域からの合計流出量を、300 l/s/km2未満の流量時の流出量およびこれ以上の流量時の流出量に区分すると、その比は0.63:0.37である。この比を用いて、各流域の非凍結期の水質平均値(=300l/s/km2未満での濃度×0.63+300l/s/km2以上での濃度×0.37)を試算した(表-2)。試算結果から、林帯が非凍結期において草地からの流出水中の全窒素と全リンを概ね20%低減させることがわかる。
成果の活用面・留意点 本試験で示した水質浄化機能の値は、幅約30mの林帯を持つ調査対象流域で得たものである。
図表1 213423-1.gif
図表2 213423-2.gif
図表3 213423-3.gif
図表4 213423-4.gif
図表5 213423-5.gif
カテゴリ 肥料 乳牛

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