越冬性に優れたオーチャードグラスのロシア遺伝資源の特性と育種への利用

タイトル 越冬性に優れたオーチャードグラスのロシア遺伝資源の特性と育種への利用
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2000~2004
研究担当者 山田敏彦
田村健一
眞田康治
発行年度 2004
要約 オーチャードグラスのロシア遺伝資源とロシア遺伝資源から育成された系統は、耐凍性および耐雪性に優れる。いずれも秋季は休眠開始が早く、越冬後の糖の残存量が多く、春の萌芽が良好である。
キーワード オーチャードグラス、遺伝資源、越冬性、耐凍性、耐雪性、糖含量
成果の活用面・留意点
  1. オーチャードグラスのロシア遺伝資源は、標準品種「ワセミドリ」より耐凍性に優れ、耐雪性(雪腐黒色小粒菌核病抵抗性)は並である。ロシア遺伝資源を利用して育成した「北海28号」などの系統は、「ワセミドリ」より耐凍性と耐雪性が優れ、ロシア遺伝資源と同程度かやや優れる(図1)。越冬性は、ロシア遺伝資源や「ワセミドリ」より優れる。
  2. ロシア品種(「Morshanskaya」)と「北海28号」は、秋季の休眠が「ワセミドリ」より約1ヶ月早い(図2)。いずれも、秋季の生育は「ワセミドリ」より劣る。
  3. ロシア品種(「Morshanskaya」)と「北海28号」の越冬前のフルクタン含量は、「ワセミドリ」より多いが、越冬性に劣る「Ambassador」と同程度である(図3)。
  4. ロシア品種と「北海28号」は、越冬後の糖の残存量が多く、萌芽が良好である(表)。「Ambassador」は、越冬後の糖の残存量が少なく萌芽が不良であり、春の萌芽の良否には越冬後の糖含量が関与している。

  1. ロシア遺伝資源の利用により、越冬後の糖含量の増加が期待できるので、越冬性の改良に有効である。
  2. ロシア遺伝資源およびこれを利用した系統は、秋季は早く休眠するので夏以降の生育が劣り、収量性が低い。ロシア遺伝資源を利用する場合は、他の素材と交配し選抜を繰り返す必要がある。
図表1 213490-1.jpg
カテゴリ 育種 遺伝資源 抵抗性 品種

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