タイトル | 可食部CdがCODEX基準値案を越えない土壌の可溶性Cd含量の推定法 |
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担当機関 | 土壌特性研究室 |
研究期間 | 2005~2005 |
研究担当者 |
杉戸智子 吉田光二 |
発行年度 | 2005 |
要約 | マメ、コムギでは可食部Cd含量と土壌の0.01M塩酸可溶性Cd含量の間に高い正の相関があり、この関係からCODEXで検討されている作物可食部Cd含量の基準値案を越えない土壌Cd含量が推定できる。 |
キーワード | マメ、コムギ、0.01M塩酸可溶性カドミウム、可食部カドミウム、CODEX |
背景・ねらい | CODEXにおいて、作物可食部中のCd含量の基準値が設定されつつある。一方、Cd人工汚染土壌で栽培したマメ、ムギ、野菜の作物可食部Cd含量が土壌の0.01M塩酸可溶性Cd含量から推定できることを明らかにしている。 そこで、一般の畑土壌においても0.01M塩酸可溶性Cd含量から作物可食部のCd含量が推定できるか検討し、可食部Cd含量がCODEXの基準値案を越えないで作物を栽培できる土壌の0.01M塩酸可溶性Cd含量の推定を試みる。 |
成果の内容・特徴 | 1.土壌型、有機物施用条件、作付け体系(連作/輪作)が異なる圃場より作物栽培前に採取した作土の0.01M塩酸可溶性Cd含量と上記圃場で栽培したインゲン(大正金時)、アズキ(エリモショウズ)、秋まきコムギ(月寒1号)、春まきコムギ(ハルユタカ)可食部Cd含量の間に有意な正の相関がある。また、Cd人工汚染土壌の結果を含めると、相関がさらに高まる(図1)。 2.有意な正の相関に基づいて、土壌の0.01M塩酸可溶性Cd含量から作物可食部Cd含量を推定する一次回帰式が作成できる(表1)。 3.上述した関係から、CODEXで検討されている基準値案(2005.7現在、コムギ:0.2mg/kg現物、ダイズおよび落花生を除く豆類:0.1mg/kg現物)を越えないで作物を栽培できる土壌の0.01M塩酸可溶性Cd含量は、秋コムギ、春コムギで0.07mg/kg乾土以下、インゲンで0.23mg/kg乾土以下、アズキで0.30mg/kg乾土以下と考えられる(表1)。なお、ダイズでは基準値案が設定されていないが、豆類と同じとして求めると、コムギと同じ0.07mg/kg乾土以下となる。 |
成果の活用面・留意点 | 1.土壌のカドミウム(Cd)含量の多少にかかわらず、作物作付け前の土壌の0.01M塩酸可溶性Cd含量(測定法は平成16年度成果情報 北海道農業 p278参照)から作物可食部Cd含量が推定できる。 2.作物のCd吸収は土壌の有機物含量やpHによって影響されるので、0.01M塩酸可溶性Cdの測定は有機物や炭カル等の施用後に行う。また、作物によっては品種によりCd吸収が異なるので、適用に当たっては考慮する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
カテゴリ | あずき 大豆 品種 輪作 |