タイトル |
SPF豚農場におけるMycoplasma hyopneumoniaeの清浄度回復技術 |
担当機関 |
ホクレン農業協同組合連合会 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
岩瀬俊雄
吉田英雄
宮島肇
高谷和宏
扇勉
二階堂聡
平井綱雄
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発行年度 |
2006 |
要約 |
Mhp侵入によりSPF認定が停止したSPF豚農場で豚舎内の消毒(ほぼ毎日)、全頭のワクチン接種、豚舎間の人の移動制限や飼養管理の見直しからなる対策を実行することで、肺廃棄率が改善することで再認定が可能となり、清浄度や生産性が回復する。
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キーワード |
SPF豚農場、排除指定疾病、清浄化、Mhp、生産性
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背景・ねらい |
SPF豚生産方式は生産性阻害要因となるいくつかの感染症を排除し、高い生産性を目指す養豚技術である。したがって、SPF豚農場の清浄度が低下した場合は、これらを回復することが必要となる。清浄度を回復させる手法としては、再変換方式があるが、豚の生産を長期間停止する必要があるため、農場の経済的負担が極めて大きい。そこで本試験では、Mycoplasma hyopneumoniae(Mhp)が侵入し、SPF認定を停止したSPF豚農場において、再変換によらない既存の生産を継続したまま実施可能な清浄度回復技術の開発に資する。
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成果の内容・特徴 |
- Mhp侵入確認後は表1のように出生時から消毒やワクチン接種等を行うことで、肥育豚のMhp抗体陽性率が低下する(図1左上)。対策3ヵ月後に出生した豚では、抗体陽性率が目標値まで回復し、消毒等の対策実施によって着実にMhp菌量が低下し、清浄度が回復することを示している。
- SEP(豚流行性肺炎)様肺廃棄率はワクチンを使わなくても、消毒等の対策を110日齢未満から開始することで、目標値まで低下し、症状の重篤度が緩和される(図1下)。ワクチン接種を追加することで、肺廃棄率はさらに低下し、重篤な肺炎の発生をほぼ抑制できる。
- 対策前から飼養されている繁殖用母豚のMhp抗体陽性率は100%であり、対策によっても低下しない(図1中上)。一方、対策後に導入した母豚の抗体陽性率は農場での対策実施期間が10ヵ月でも0%に保たれる。使用ワクチンは病変を抑制するが、感染は防御しないことからも、消毒等の対策により、Mhp菌量が低下し、導入母豚への新規感染を完全に防御できる。
- 薬剤購入費は、対策実施に伴って出荷豚1頭当たり約296円増加する(図1右上)。枝肉の平均格落額(上物価格と販売した枝肉の平均価格の差)はMhp感染によって対策前は2157円/出荷豚に低下する(図1下)。しかし、消毒等の対策とワクチン接種を併用することで格落額は除々に低下し、対策3ヵ月後に出生した豚では目標値に到達する。また対策実施により得られる枝肉格落額/出荷豚の回復費用は、購入薬剤費/出荷豚の増加を上回る。
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成果の活用面・留意点 |
- Mhpが侵入したSPF豚農場の清浄化ならびにSEP様肺廃棄率改善に利用できる。
- SPF豚農場におけるMhp侵入の早期発見のためには、咳回数の計測によるモニタリング(平成11年度 指導参考)が有効である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
飼育技術
出荷調整
繁殖性改善
豚
モニタリング
薬剤
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