タイトル |
脱水工程での溶液噴霧によるでん粉粕への飼料養分添加法 |
担当機関 |
環境草地部 |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
(道立畜試)
佐藤敏昭
杉本昌仁
西田勝一(南十勝農工連)
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発行年度 |
2006 |
要約 |
粘土状の物性を持つでん粉粕に対し、製造時の脱水工程で溶液噴霧すると設定どおりの濃度で資材を添加できる。年次や日間による添加資材濃度の差は小さい。
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キーワード |
でん粉粕、溶液噴霧、濃度
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背景・ねらい |
でん粉粕は粗蛋白質含量や脂溶性ビタミン含量が低く、そのまま単独で給与しても家畜の養分要求量を満たすことはできない。でん粉粕は粘土状の物性を持っているため、他資材と混合しにくく、農家自身が資材を添加して不足する養分を補給することは、大型の飼料混合機を持つ場合を除いては、困難である。したがって、でん粉工場で資材を混合してから農家へ供給することは、でん粉粕の飼料利用拡大を促進する方策として期待できる。そこで本成績では、試作した溶液噴霧型の添加装置をでん粉工場に設置し、でん粉粕への資材添加の可能性を実規模で検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 添加資材として飼料用尿素を用いる。噴霧口については、鉋屑状に排出されるでん粉粕にできるだけ均一な添加をするため、噴霧液が扇状に広がるノズル(図1)を採用し、33.3%尿素液を噴霧する。装置は、(1)溶液タンク、(2)送液ポンプ、(3)噴霧ノズルから構成される(図2)。供試した脱水装置1台あたりの粕排出速度が日量約75トンであるため、1時間あたりの排出量は3.1トンと推定される。この数値をもとに粕への尿素液添加速度を46.8L/hに設定し、尿素液を噴霧すると水分含量は78.5%となる。原料粕の水分含量(約80%)と比較すると尿素液の噴霧によって水分含量を大幅に高める心配はない(表1)。
- でん粉粕中の設定尿素濃度を0.5%とする添加試験を2年にわたって行った結果、各試験年の平均尿素濃度は約0.5%で標準偏差は0.16~0.17%である(図2、表1)。
- 農家への供給を模擬し、車両(ダンプカー)で輸送した尿素添加でん粉粕の尿素含量のバラツキを調べると、推定された分散成分のうちもっとも大きな値を示したのはサンプルであり、分散成分合計の80%以上を占める(表2)。すなわち、今回の実験で得られた試料中尿素濃度のバラツキは、同一車両内のサンプル間に起因し、輸送車が原因となるものは小さい。年次間・日間・分析(の反復)の分散成分はゼロとみなされる。
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成果の活用面・留意点 |
- 飼料添加資材を補給してでん粉粕の栄養価を高める技術開発研究に応用できる。
- 国の許可が下り、また工場側の条件整備が整えば尿素添加でん粉粕の製造に利用できる。
- でん粉粕以外の材料への応用を検討することによって用途の拡大が期待できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
飼料用作物
輸送
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