タイトル |
野菜産地における通いコンテナ導入の評価と対応方針 |
担当機関 |
十勝農試 |
研究期間 |
2004~2005 |
研究担当者 |
浦谷孝義
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発行年度 |
2006 |
要約 |
通いコンテナの利用では、収穫作業能率への影響は品目ごとの特性によって異なり、容器代は段ボール箱並になりつつある。産地が通いコンテナを利用して有利販売を達成するには、コンテナの利用が出荷先にもメリットをもたらす提案が必要である。
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キーワード |
通いコンテナ、容器費用、販売価格、鮮度保持、店持ち、流通範囲
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背景・ねらい |
青果物流通における廃棄物削減の対応策として通いコンテナの普及が望まれているが、生産側はやや遅れ気味といわれている。そこで、野菜産地への通いコンテナ導入によるコスト削減および有利販売の可能性を明らかにするとともに、通いコンテナ導入に向けた産地対応のあり方を提示する。
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成果の内容・特徴 |
- コンテナの利用により、レタスやコマツナのように収穫~収納作業能率が向上する品目と、キャベツやだいこんのように低下する品目が見られる(表1)。これは、品目ごとの性状(大きさ、伸縮性、傷つきやすさなど)に応じて、作業の難易度が異なることが作業能率に影響を及ぼしているためと推察される。また、機械共選システムでは搬送コンベアの幅とコンテナの幅が合わない等のためコンテナは利用できない。このため、機械共選を導入している産地では別途手選別ラインが必要となるが、その能率は機械共選と比べて大幅に低下する。(表2)
- コンテナのレンタル料金は低下傾向にあり、単位当たりの容器代そのものは、産地Aでは段ボール箱より安く、産地Bでは同等である。産地Aでは、鮮度保持フィルムを含めても、段ボール箱とほぼ同等である。(表3)
- 野菜の販売価格は、産地Aでは段ボール箱よりコンテナの方が高かったが、産地Cではほとんどかわらない。産地Aについて、全量段ボール箱で出荷した場合と、出荷量の一部(16%程度)をコンテナ出荷した場合の販売額を試算した結果、一部をコンテナ出荷する場合の方が販売額は5~8%程度増加する。
- 産地Aがコンテナ利用を有利販売に結びつけることができたのは、①現状ではコンテナは契約先以外へは流通できないため、コンテナを利用することで商品の確保に関して出荷先から信頼を得やすいこと、②出荷先の評価が高いつまり出荷先は価格高騰時でもその商品を確保したいとする要望が強いこと、③コンテナと鮮度保持資材で鮮度保持と店舗での店持ちを長期化できることを提案したこと、による(図1)。
- 野菜産地がコンテナを利用するに当たっては、コンテナによる収穫作業能率向上、レンタル業者との交渉により容器代の低減、および野菜の販売単価の向上に向けて、①商品に対する出荷先からの評価の向上を図る、②コンテナと鮮度保持資材の利用により出荷先がメリットを教授できる提案をするなどの積極的な対応が必要である。
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成果の活用面・留意点 |
- 野菜産地が通いコンテナを導入する際の参考として活用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
キャベツ
コスト
こまつな
出荷調整
だいこん
レタス
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