赤身肉を目指した牛肉生産の経済性

タイトル 赤身肉を目指した牛肉生産の経済性
担当機関 十勝農試
研究期間 2004~2006
研究担当者 浦谷孝義
発行年度 2006
要約 赤身肉生産を実践している肉牛経営では、脂肪交雑にこだわらずに黒毛和種以外の肉専用品種を用い、粕類を利用したり、安全性を考慮してポストハーベストフリー飼料を使用していたが、収益性では十分な所得を確保できていない。所得を確保できる枝肉価格は、1,300~1,400円/kgである。
キーワード 赤身肉生産、脂肪交雑、肉専用種、購入飼料、収益性、枝肉価格
背景・ねらい 食料の安全性や人の健康に対する消費者の関心が高まりつつあり、脂肪交雑にこだわらない牛肉生産への需要が強まると予想される。赤身肉生産の経営実態は不明であるため、給与飼料、牛肉の仕上がりや収益性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 対象とした2農場の基本姿勢は、①脂肪交雑に頼らず牛肉の旨味をいかすこと、②人間が直接食用にできない産物(粗飼料や粕類等)を飼料として活用すること、③そのため、現在の主力品種である黒毛和種以外の品種を用いていること、である。(表1)
  2. 肥育牛用の購入飼料をみると、A農場ではポストハーベストフリーの配合飼料を用いているが、これは一般の配合飼料に比べて同等もしくは若干割高である。B農場では農産加工粕類のみが給与されており、飼料単価を算出したところ一般配合飼料に比べて明瞭には低下していない(表1)。
  3. 肥育牛の出荷成績では、両経営とも、去勢牛の出荷月齢、枝肉重量はほぼ標準的な成績である。肉質等級3が10%以下、同2以下が90%以上と、両農場とも格付が低い。去勢牛の枝肉単価は、A農場、B農場ともに平均1,100円程度であり、1頭当たり価格は、A農場では45万円弱、B農場では48万円弱である。(表2)
  4. 肉牛部門の所得は、B農場では若干のプラスだが、A農場ではマイナスである。自家産子牛を素畜として利用し、子牛の再生産価格(全算入生産費)を前提とした場合の肥育牛の総費用はA農場で51万円、B農場で61万円、経営費相当額は順に47万円弱、52万円、である。(表3)
  5. 枝肉1kg当たりの費用を算出すると、経営費相当額はA農場で1,191円、B農場で1,205円、総費用は各々1,310円、1,402円である。枝肉単価1,200円程度で所得のマイナスは回避でき、1,300~1,400円で自家労賃を含む所得を確保できる。(表4)
  6. 収支の改善に向けて販売単価の向上を図るには、通常の流通ルートとは異なる販売先の探索とともに、赤身肉に対する消費者の評価を改善することが重要である。A農場は、低農薬・有機農産物販売業者に出荷するだけでなく直売等を行うとともに、関係団体主催のイベントに参加するなど、直接消費者に向けた情報発信に努めている。B農場は、首都圏生協と外食由)に出荷する一方、自ら地元外食業者への出荷を模索するとともに、関係団体開催のイベントで試食会に参加するなど、業者・消費者との交流に努めている。
成果の活用面・留意点
  1. 肉牛経営が、赤身肉の生産に取り組む際の参考として活用できる。
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図表2 213795-2.jpg
図表3 213795-3.jpg
図表4 213795-4.jpg
カテゴリ 病害虫 有機農産物 加工 経営管理 出荷調整 肉牛 農薬 品種

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