タイトル |
2番草糖含量に着目した高糖含量オーチャードグラスの育成方法 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
2001~2007 |
研究担当者 |
小松敏憲
田瀬和浩
田村健一
眞田康治
|
発行年度 |
2007 |
要約 |
オーチャードグラスの糖含量は、品種・系統間、番草間で大きな変異がある。2番草糖含量は広義の遺伝率が高く、年次間変動が小さく、各番草と有意な相関がある。高糖含量オーチャードグラスは、2番草で糖含量と病害罹病程度を評価し選抜することにより育成できる。
|
キーワード |
|
背景・ねらい |
飼料自給率の向上のためには、収量性向上とともに粗飼料の高品質化が求められている。イネ科牧草の糖含量は、サイレージの発酵品質や家畜の消化性と密接に関連することが知られている。北海道の基幹草種であるオーチャードグラスは、飼料品質が低くその中でも糖含量が低いことから、良質なサイレージの調製が難しく、改良が求められている。そのため、糖含量の変異と効率的に選抜するための方法を明らかにする。
|
成果の内容・特徴 |
- 1番草を出穂始から出穂期に刈り取り、その後約45日間隔で年3~4回刈り取った場合、オーチャードグラスの導入品種および育成品種・系統97点の糖含量は、年間平均7.2%で5.3~10.8%の変異幅がある(表1)。番草別の品種平均糖含量は、3および4番草が9.4%で高く、2番草は4.4%で低い(表1)。糖含量の広義の遺伝率は、1および2番草が0.37と0.85、各品種群が0.34~0.71である(表1)。
- 晩生品種・系統群の糖含量は、年間平均8.7%で早生および中生品種・系統群より高く、標準偏差が早生および中生より大きく変異幅が広い(表1)。晩生品種・系統群の病害罹病程度は、早生および中生よりやや低い。
- 2番草糖含量は、1番草との間にr=0.74(n=31)および3、4番草との間にr=0.46(n=97)の有意な相関がある。2番草糖含量の年次間の相関係数はr=0.77で、1番草(r=0.39)および3、4番草(r=-0.03)の年次間相関係数より高い(図1)。2番草糖含量は、年次による品種・系統間の序列の変動が小さく安定した評価が可能である。
- 各集団において、2番草および3、4番草糖含量と病害罹病程度との間には有意な相関があり、葉枯性病害に罹病することにより、糖含量が低下する傾向がある(表2)。
- 多数の個体から病害罹病程度の低い個体を選抜し、その中から2番草糖含量の高い個体を選抜して育成した「北育89号」の1および2番草糖含量は、中生の標準品種「ハルジマン」に比べて有意に高く、貯蔵性炭水化物であるフルクタンの含量が高い(表3)。
|
成果の活用面・留意点 |
- オーチャードグラス育種の選抜過程に、2番草による糖含量選抜を取り入れて利用できる。
- 糖含量は、施肥量など栽培条件および刈取り時期により変動する。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
育種
栽培条件
施肥
品種
|