タイトル |
根釧地域における極早生とうもろこしの無マルチ栽培 |
担当機関 |
道立根釧農試 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
林 拓
牧野 司
佐藤尚親
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発行年度 |
2007 |
要約 |
根釧地域の無マルチ栽培においては狭畦栽培と、耐冷性および多収性の極早生2品種の交互条播を組み合わせた栽培体系が、冷涼年でも安定栽培が可能である。不耕起タイプ播種機を用いる場合、播種床造成時にプラウおよびロータリハローを省略しても、慣行法と同等以上の収量を確保できる。各地区での栽培適否を判断するための「黄熟初期以降に達する確率マップ」を提供する。
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キーワード |
とうもろこし、狭畦栽培、交互条播、簡易耕起、安定栽培地域マップ
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背景・ねらい |
夏季冷涼なためこれまでマルチ栽培が主であった根釧地域のとうもろこし(サイレージ用)について、無マルチ(以下露地とする)栽培を指向する酪農家等のための技術的指針を示す。
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成果の内容・特徴 |
- 狭畦露地栽培(畦間56cm程度、株間18cm程度)の収量は、年次・場所によって傾向が異なるが、マルチ栽培(畦間75cm程度、株間15cm程度)の85%程度、慣行畦間露地栽培(畦間72cm程度、株間18cm程度)の94~120%程度である(表1)。狭畦露地栽培の耐倒伏性は、マルチ栽培より劣り、慣行畦間露地栽培と同程度かやや優る(表2)。
- 品種「ぱぴりか」は生育初期の低温処理による雄穂長への影響はないが、供試した他の品種は、雄穂長が短くなり、障害型冷害感受性と推定する。狭畦条件でこれらの品種を1畦ごとに交互条播した場合、交互総体の収量性は各単植にした場合と同程度であり、圃場全体として障害型冷害耐性と収量性を両立できる(図1)。ただし、交互条播での収量は、品種本来の収量性だけでなく品種の組み合わせによって変化する。
- ディスクオープナ型播種機(不耕起タイプ播種機)を用いると、草地跡(前植生をグリホサート系除草剤で完全枯死させた条件下)、連作中ともに、播種床造成時のプラウおよびロータリハローを省略しても慣行法と同等以上の収量を確保できる(図2)。
- 1kmメッシュの積算気温マップ作成技術を応用し、根釧地域における単純積算気温と雌穂乾物率との関係式等から「黄熟初期以降に達する確率マップ」を作成した。このマップを用いて各地区でのとうもろこし無マルチ栽培の可否を判定することができる。
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成果の活用面・留意点 |
- 根釧地域においてとうもろこしを露地栽培しようとする場合の指針となる。
- 「黄熟初期以降に達する確率マップ」については、更なるデータの収集・解析を進め、精度向上を図る予定である。
- 「黄熟初期以降に達する確率マップ」およびこれに関連する地理情報等は、閲覧するためのソフトウエアとともに、CD等で普及現場等に配布できる。
平成19年度北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「根釧地域における極早生とうもろこしの安定栽培技術」(指導参考)
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
安定栽培技術
狭畦栽培
栽培体系
除草剤
多収性
凍害
とうもろこし
乳牛
播種
品種
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