タイトル |
トマトの病害虫に対する生物農薬を活用した減化学農薬防除技術 |
担当機関 |
道立道南農試 |
研究期間 |
2005~2007 |
研究担当者 |
柿崎昌志
野津あゆみ
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発行年度 |
2007 |
要約 |
トマトの地上部に発生する病害に対しては、化学農薬とバチルス・ズブチリス剤の交互散布や葉かび抵抗性品種の利用の組合せ、害虫に対しては、初発を捉えて生物農薬の複数回散布で、化学農薬を5割以上削減しつつ慣行と同等の防除効果が得られる。
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キーワード |
トマト、バチルス・ズブチリス剤、ボーベリア・バシアーナ剤、ククメリスカブリダニ剤、葉かび病抵抗性品種、減化学農薬防除
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背景・ねらい |
トマトの地上部には各種の病害虫が発生して減化学農薬栽培を難しくしており、生物農薬の適用性や活用法の確立が求められている。そこで、トマトの病害虫に対する生物農薬の適用性を明らかにし、各種防除法と組み合わせた減化学農薬防除技術を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 灰色かび病に対して、バチルス・ズブチリス剤(BS剤)のインプレッションとエコショットが防除効果が高く、エコショットは散布時の果実の汚れがない。葉かび病にはいずれのBS剤も効果が不安定である。うどんこ病にはBS剤は有効である。
- 葉かび病は、抵抗性遺伝子Cf-9を持つ品種の利用で発生を回避できる。また、初発時の罹病葉除去でBS剤の防除効果が安定する。
- 半促成作型では、灰色かび病の初発時から化学農薬・BS剤交互散布の防除体系(化学農薬の成分回数5割減)で慣行と同等の防除効果が得られる(表1)。夏秋どり作型では以下の防除体系で化学農薬を半減できる。(1)葉かび病抵抗性品種の利用と交互散布(2)罹病性品種の場合、交互散布のBS剤を葉かび病発病葉率1割を超えた場合にポリオキシン複合体水和剤(Po)に置き換える。また、夏秋どり作型ではうどんこ病が発生する場合もあるが、上記散布体系で同時防除ができる(図2)。
- モニタリング法として、オンシツコナジラミ成虫の黄色粘着板による捕獲状況(1日1頭以上が連続して捕獲される場合)はトマトでの寄生初発を捉えるのに有効である。すす汚染は、平均幼虫密度5頭以下/小葉で少ない。ミカンキイロアザミウマは青色粘着板よりも葉での被害痕や寄生虫数を調べる方が初発を検出し易い。
- オンシツコナジラミに対して、ボーベリア・バシアーナ剤(Bo)、バーテシリウム・レカニ剤及びペキロマイセス・フロモセウス剤は防除効果があり、特に、Bo剤の効果が高い。ミカンキイロアザミウマに対して、Bo剤とククメリスカブリダニ剤が防除効果がある。アブラムシ類には速効性のある剤がない(表2)。モニタリングでコナジラミやアザミウマ(少発生条件下)の初発をとらえて、これらの生物農薬を複数回散布することで化学農薬を用いなくても密度を低く抑えることが出来る(図1)。アブラムシ類は通常は防除が必要ないが、増加する場合には化学農薬で対応する。
- 本防除体系(図2)により、YES!clean 基準以下に化学農薬の使用回数を抑えられる。
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成果の活用面・留意点 |
- トマト栽培の減化学農薬でYES!cleanの基準をクリアする防除技術として活用する
- 病害虫の発生に応じてこれらの生物農薬を用いた防除法を組み合わせて活用する。
平成19年度 北海道農業試験会議(成績会議)における課題名および区分 「トマトの病害虫に対する生物農薬を活用した減化学農薬防除技術」(指導参考)
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
うどんこ病
害虫
抵抗性遺伝子
抵抗性品種
トマト
農薬
品種
防除
モニタリング
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