福島、山形県内有機および慣行ミニトマト栽培農家土壌の糸状菌群集構造

タイトル 福島、山形県内有機および慣行ミニトマト栽培農家土壌の糸状菌群集構造
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2003~2007
研究担当者 岡田浩明(農環研)
関口博之
竹中重仁
長谷川浩(東北農研センター)
長谷川優子(福島県農業改良普及センター)
発行年度 2007
要約
    福島、山形県内のミニトマト栽培農家土壌では、有機および慣行の各条件下で異なる糸状菌群集が形成されている。有機栽培農家土壌を特徴づける特定の糸状菌は認められないが、慣行栽培農家土壌ではChaetomium globosum, Mortierella hyalinaが特徴的である。
キーワード
    有機農業、土壌微生物、土壌糸状菌群集構造、DGGE(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)
背景・ねらい
    農業における過度の化学物質施用への反省から、有機農業への関心が著しい高まりを見せている。有機農業では、投入した有機質肥料により、土壌中において物質循環の主要な調節因子である微生物が有効に機能していると考えられているが、有機および慣行栽培農家土壌の微生物群集を詳細に比較した例は少なく科学的な根拠に乏しい。そこで、現地の有機および慣行ミニトマト栽培農家土壌の糸状菌群集について分子生物学的な手法により比較する。
成果の内容・特徴
  1. 2年間にわたる土壌の理化学性分析の結果、有効態リン酸は有機栽培農家土壌において有意に高い。他の分析項目に関しては、有機栽培農家土壌において高い傾向は認められるが、農家毎の変動が大きく有意な差ではない。また、土壌中の糸状菌数も農法間で有意な差は認められない(表1)。
  2. 糸状菌の18S rDNAの部分塩基配列を用いた糸状菌群集のDGGE(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動)プロファイルはそれぞれの農家で異なる(図1)。
  3. DGGEプロファイルの主成分分析により、年度により不明瞭な場合もあるが、有機および慣行栽培農家土壌をグルーピングでき(図2)、農法の違いが糸状菌群集に反映していると考えられる。
  4. バンドの主成分スコア係数より、有機栽培農家土壌と慣行栽培農家土壌の識別には、Chaetomium globosum(セルロース分解)とMortierella hyalina(生物の死骸や排泄物を分解)が強く関与し(図2)、慣行栽培農家土壌において、これらの微生物に相当するバンドの輝度が高い(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 現地農家土壌における農法の違いを糸状菌群集構造のDGGEプロファイルに基づいて比較した初めての事例である。
  2. 調査対象は福島県、山形県内のミニトマト栽培中のハウス内土壌(2005年:有機8カ所、慣行13カ所、2006年:有機6カ所、慣行13カ所)であり、有機はJAS有機認証農家、および慣行は化学肥料、農薬を施用し、堆肥等の有機物も施用している農家である。
  3. 本成果情報で解析した土壌は、平成19年度成果情報(東北農業・基盤技術(土壌肥料))「土壌のリン脂質脂肪酸組成は有機栽培と慣行栽培で差が認められない」における土壌と同じであり、図表中の農家記号は共通である。
図表1 213943-1.jpg
図表2 213943-2.jpg
図表3 213943-3.jpg
カテゴリ 有機農業 有機栽培 土づくり 肥料 病害虫 土壌管理技術 農薬 ミニトマト

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