水稲第8染色体の穂ばらみ期耐冷性遺伝子とその選抜マーカー

タイトル 水稲第8染色体の穂ばらみ期耐冷性遺伝子とその選抜マーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2004~2007
研究担当者 安東郁男(作物研)
横上晴郁
黒木慎
佐藤裕
斎藤浩二
松葉修一
清水博之
発行年度 2007
要約 耐冷性極強の水稲中間母本系統「北海PL9」は第8染色体短腕に新規の穂ばらみ期耐冷性遺伝子(qCTB8)をもつ。qCTB8の候補領域は1.7cM区間内に推定され、アガロースゲル電気泳動で検出可能なSSRマーカーを用いて選抜できる。
キーワード 水稲、穂ばらみ期耐冷性、DNAマーカー、北海PL9、qCTB8
背景・ねらい 夏季の低温による冷害克服のため、育種による水稲の穂ばらみ期耐冷性向上が求められている。量的形質である穂ばらみ期耐冷性を簡便かつ効率よく改良するためには、DNAマーカーを利用して耐冷性遺伝子の導入・集積や劣悪形質との連鎖の解消を図ることが有効である。そこで、耐冷性極強の中間母本系統「北海PL9」がもつ穂ばらみ期耐冷性遺伝子をDNAマーカー連鎖地図上へ位置づけるとともに、育種選抜のためのマーカー開発を行う。
成果の内容・特徴
  1. 「北海PL9」(耐冷性極強)は第8染色体短腕に穂ばらみ期耐冷性遺伝子(qCTB8)をもっている。qCTB8はSSRマーカーRM5647とPLA61間の1.7cM区間(日本晴ゲノム塩基配列では193kbpに相当)に座乗すると推定される(図1)。
  2. qCTB8のマーカーを利用することにより、穂ばらみ期耐冷性の選抜が可能である。「北海PL9」(耐冷性極強)と「北海287号」(耐冷性やや強)のF2集団において、マーカー選抜されたqCTB8をホモでもつ個体ともたない個体間では、耐冷性検定における稔実率に2ヶ年とも約18%の差が観察される(図2)。
  3. qCTB8のマーカーはPCR増幅産物のアガロースゲル電気泳動によって多型検出可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究のSSRマーカーは「北海PL9」を供与親とした穂ばらみ期耐冷性のマーカー育種に利用できる。
  2. 図1においてPLAから始まる名前のついたマーカーはKurokiら(2007, Theor. Appl. Genet. 115:593-600)、RMから始まる名前のついたマーカーはMcCouchら(2002, DNA Res. 9:199-207)によって開発・公開されている。
  3. 「北海PL9」の種子は問い合わせにより品種育成用途で分譲可能である。
図表1 213949-1.jpg
図表2 213949-2.jpg
カテゴリ 育種 水稲 DNAマーカー 凍害 品種

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