タイトル |
大規模水稲経営へのトラムライン潤土直播栽培技術導入による省力・コスト削減効果 |
担当機関 |
農業経営研究室 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
大規模水稲経営モデルへトラムライン潤土直播栽培技術を導入した場合,その導入効果は,①超省力化による労働費削減によって低コスト化が図られる,②春作業における補助労働力削減効果が著しい,③少人数による分配によって一人当たりの所得向上が図られることである。
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背景・ねらい |
慣行移植栽培技術では経営規模拡大によって春作業が増大し,より多くの雇用労働力が必要とされるが,短期間の就業条件であることや高齢化等によってその確保が難しくなっている。また,米価も下落しており,省力・低コスト技術の導入による所得確保が急務となっている。このような問題を踏まえ,大規模水田経営にトラムライン潤土直播栽培技術を導入した場合の省力・コスト削減効果について評価する。
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成果の内容・特徴 |
- 現地実証試験を行っている経営体に基づいた水稲作付面積80haの経営モデルを用いた場合,トラムライン潤土直播栽培の導入による省力効果は,①必要労働力及び田植機台数は直播面積の増加にしたがって減らすことができる,②春季の労働ピークが著しく緩和される,③特に春作業において補助労働力削減効果が高い,④全面積直播にした場合の10a当たり労働時間は全面積移植より約4時間少ないことである(表1),(図1)。
- 経営モデルのプロトタイプは,全面積トラムライン潤土直播栽培で大型トラクタを導入した構成員2人の40ha経営モデルである。この場合の生産費は,84,691円/10aで「北陸地域5ha以上」の82%であり,①労働費の大幅な削減により低コスト化が図られる,②構成員の労働費を除く生産費はほぼ同様である,③単価の高い粒剤を使用するため農業薬剤費が高くなる,④1/2のトラムラインを路面強化(造成費56千円/10a,耐用年数5年)したため施設費が高くなる,等の特徴がある(図2)。
- この40ha経営モデルにおいて目標所得800万円/人を達成するためには,米価(60kg)が20,000円,18,000円,16,000円それぞれに対して単収約430kg,490kg,560kgが必要である(図3)
。超省力化による少人数での所得分配が,1人当たり目標所得の達成に大きく貢献している。
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成果の活用面・留意点 |
- 収益性よりも省力化,特に補助労働力の削減を図ろうとする大規模経営,あるいは水稲と作期が競合する作物を生産している複合経営にとって効果的な技術と位置づけられる。
- 直播適性,作期の拡大,米価水準及び奨励品種による制約等を考慮し,導入品種を決定する必要がある。
- トラムライン潤土直播栽培については「北陸農業の新技術 第9号」57~62頁参照
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
規模拡大
経営管理
経営モデル
コスト
栽培技術
直播栽培
省力化
水田
水稲
大規模経営
超省力
低コスト
春作
品種
薬剤
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