タイトル |
高発育能力系統豚のエネルギー要求量 |
担当機関 |
富山県畜産試験場 |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
高い発育性を示す肥育豚のエネルギー要求量算出式を全屠体分析により導いた。その結果、タンパク質および脂肪蓄積に対する飼料のエネルギー利用効率は、日本飼養標準に比較して高く、エネルギー要求量を、約10%低く設定する必要がある。
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背景・ねらい |
近年、SPF豚や系統豚などにおいては1日平均増体重が1kgを超えるような高発育を示す豚が増加している。これらの豚を現行の豚日本飼養標準に沿って飼料を給与すると、脂肪蓄積量の増加が懸念される。そこで、通常の肥育用飼料(TDN75)を用いて全屠体分析により体構成成分蓄積状況を調査し、高発育能力豚の摂取エネルギー利用特性並びにエネルギー要求量について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 1.成長に伴う体タンパク質量の変化(P)は日本飼養標準と大差はない(図1)。また、タンパク質として蓄積されるエネルギー量(PR)は、以下の関係式により算出される。
PR(kcal/日)=(214.2W-0.1334)×WG×5.66* (W:体重(kg)、WG:平均増体重(kg)) *タンパク質1gあたりのエネルギー含量(kcal)
- 2.成長に伴う体脂肪量の変化(F)は日本飼養標準と比較して肥育後期での脂肪蓄積が顕著である(図1)。また、脂肪として蓄積されるエネルギー量(FR)は、以下の関係式により算出される。
FR(kcal/日)=(19.6W0.7227)×WG×9.46* *脂肪1gあたりのエネルギー含量(kcal)
- タンパク質および脂肪蓄積に対する飼料のエネルギー利用効率はともに日本飼養標準に比較して高い(表1)。
- 一方では、高発育能力豚の可消化エネルギー要求量(DE)は以下の算出式により求められるが、増体日量を1kgに設定すると、現行の日本飼養標準に示されるエネルギー要求量よりも約10%少ない(表2)。
DE(kcal/日)=125W0.75+PR/0.63+FR/0.88
- このように高発育能力豚は、エネルギー利用効率が非常に高く、増体に要するエネルギー要求量が少ないため、高TDN飼料を給与した場合、過剰な摂取エネルギーが体脂肪として蓄積される。
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成果の活用面・留意点 |
- 高発育能力豚の発育特性をふまえた飼料給与改善に活用できる。
- 高発育能力豚の養分要求量基礎データとして日本飼養標準(豚)改訂等に活用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
豚
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