熱帯反すう家畜ルーメン内の繊維分解菌の検索とその特性

タイトル 熱帯反すう家畜ルーメン内の繊維分解菌の検索とその特性
担当機関 国際農林水産業研究センター
研究期間 1989~1993
研究担当者 工藤 博
マレイシア農業大学
カナダ農務省レスブリッヂ国立研究所
発行年度 1993
要約 マレイシアの水牛とケダーケランタン牛のルーメン内より繊維分解菌、ファイブロバクター サクシノジェネス、ルミノコッカス アルブス、ルミノコッカス フラヴェファシエンスを分離した。菌の繊維分解能は水牛由来株の方がケダーケランタン牛由来株よりも強力で、高頻度の継代培養で高まり、菌株の保存は摂氏4度で1カ月可能であった。
背景・ねらい 熱帯地域には肥育の不十分な家畜が多く、特に牛の栄養条件向上のためには、その消化生理機能に係わるルーメン微生物の性質・役割を解明し、微生物相の改善を図ることが重要である。一方、水牛は同様な条件で飼養されているにもかかわらず、肥育上の問題点は少ない。これは水牛のルーメン微生物、特に繊維分解菌が粗飼料をより有効に利用できるためであると考えられるが、この種の研究は殆ど行われていない。この様な繊維分解菌の研究が、熱帯地域の反すう家畜の生産性向上に役立つと期待される。
成果の内容・特徴
  1. 水牛及びケダーケランタン(KK)牛より繊維分解菌、ファイブロバクターサクシノジェネス、ルミノコッカスアルブス、ルミノコッカスフラヴェファシエンスが分離され、ファイブロバクターサクシノジェネスが最優勢(水牛:総分離株111株中91株、KK牛:総分離株126株中87株)であった。
  2. 水牛由来及びKK由来のファイブロバクター サクシノジェネスの発酵生産物は多量の酢酸とコハク酸を産性するという点と同じであったが、水牛由来株のあるものは少量の乳酸と酪酸も産生した(表1)。
  3. 繊維分解能力は水牛由来株の方が、KK牛由来株よりも強力であった(表1)。
  4. 繊維分解菌は、継代培養を高頻度に行うほど繊維分解能が高度に発現した(図1)。
  5. 繊維分解菌は、摂氏4度で4週間生存しかつ繊維分解能を有することが明らかになった。(図2)。
  6. 繊維分解菌は、可溶性炭水化物特にグルコースの使用により、繊維分解能が著しく低下した。
成果の活用面・留意点 分離された繊維分解菌、特に水牛由来株はこれまで先進諸国で分離されたものと異なる部分が有り、学問及び産業面で広く使用される可能性がある。特に、ファイブロバクターサクシノジェネスはこれまで、わずか数株しか分離されておらず、基礎研究が不十分であった。
図表1 214524-1.gif
図表2 214524-2.gif
図表3 214524-3.gif
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