高等植物から得られた乾燥誘導性遺伝子群の構造と機能

タイトル 高等植物から得られた乾燥誘導性遺伝子群の構造と機能
担当機関 国際農林水産業研究センター
研究期間 1994~1997
研究担当者
発行年度 1994
要約 モデル植物のシロイヌナズナ及び耐干性マメ科作物のササゲから、前者では乾燥後短時間に誘導される16種の遺伝子、後者では乾燥により誘導される10種の遺伝子を単離した。これらの遺伝子の全塩基配列を決定した結果、乾燥耐性の獲得に関与すると考えられる種々のタンパク質との相同性が見いだされた。
背景・ねらい 乾燥耐性作物の作出は、乾燥地帯での農業生産の向上、安定化のための重要な課題である。乾燥耐性作物の分子育種のためには、植物の乾燥耐性の獲得に働く遺伝子の解明が必要となる。そのため、遺伝子解析の進んでいるモデル植物であるシロイヌナズナと西アフリカの乾燥地帯で栽培されている耐干性のマメ科作物であるササゲを用い、乾燥によって誘導される遺伝子群を単離して、その構造と機能を解析する。
成果の内容・特徴
  • 濾紙上で風乾したシロイヌナズナでは、植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)の合成は約2時間後に起こり、10時間後に最大に達した。そこでABAによる2次的な遺伝子発現がまだ見られない乾燥1時間後の植物を用いてcDNAライブラリーを作成した。
  • このcDNAライブラリーを用いて、短時間に誘導される16種の遺伝子を単離し、ERDと名付けた。ERDの発現をノーザン法で解析すると、ABAが合成される前の1時間の乾燥によって、すべてのERDが誘導された。
  • ERDの塩基配列を決定し、データベースとの照合から、乾燥耐性の獲得に関与すると考えられる種々のタンパク質との相同性が見いだされた(図1)。
  • 乾燥状態のササゲ(乾燥10時間後)から、乾燥によって誘導される10種類の遺伝子を単離し、CPRDと名付けた。ノーザン法を用いて、これらの遺伝子がすべて乾燥によって誘導されることを示した(図2)。また、ABAで誘導されるものとABAによっては誘導されないものとが存在することを示した(表1)。
  • すべてのCPRDの塩基配列を決定し、データベースとの照合を行った。その結果、シロイヌナズナで得られたcDNAと相同性を持つものや、これまで他の植物では報告されていない遺伝子が含まれていることを明らかにした(表1)。
成果の活用面・留意点 シロイヌナズナとササゲから得られた乾燥誘導性遺伝子群は、これまでに開発してきた乾燥誘導性のプロモーターと結合して植物体に導入し、乾燥時に特異的に過剰発現させることにより、乾燥耐性植物の分子育種に利用できる。
図表1 214529-1.gif
図表2 214529-2.gif
図表3 214529-3.gif
カテゴリ 育種 乾燥 ささげ データベース

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