熱帯における水稲の湛水土壌中直播技術の開発

タイトル 熱帯における水稲の湛水土壌中直播技術の開発
担当機関 国際農林水産業研究センター
研究期間 1994~1994
研究担当者
発行年度 1994
要約 遺伝資源の利用と栽培技術の改良により、催芽種子を直接嫌気的な湛水土壌中に播種する技術を創出し、苗立ちを安定化させると同時に倒伏と雑草害を軽減させる技術を熱帯において開発した。
背景・ねらい 熱帯の水稲直播栽培では、水田を代掻きした2-3日後に催芽種子を土壌表面に散播する。そのため種子は鳥や鼠の害にさらされるのみでなく、強い日差しのため乾燥したり逆に強雨にたたかれ流されたりし、苗立ちは不安定である。また稲の基部は土壌表面にあるため根の地中への張りも弱く、倒伏も大きな問題である。さらに直播栽培では稲と雑草の種子がほぼ同時に発芽生育を開始するため雑草害も大きい。そこで遺伝資源の利用と栽培技術の改良により催芽種子を直播嫌気的な湛水土壌中に播種する技術を創出し、苗立ちを安定させると同時に倒伏と雑草害を軽減させる。
成果の内容・特徴
  • 湛水土壌中からの苗立ちの優れた適応品種が見いだされた。適応品種は東北インドやバングラデシュに起源を持つ天水田稲や深水稲に多く、また高収性の改良品種にも見つかった。適応品種の鞘葉の伸長は嫌気的条件下でも優れており、地表から地中の種子へ、効率的に酸素が輸送されていると推定される。
  • 種子の保存状態が悪いと種子の苗立ち能力が劣化(Seed aging)した。品種間に大きなSeed aging耐性の差が認められ、品種ASDI(インド)は嫌気条件下での苗立ちが優れて、Seed aging耐性特性をもっており、熱帯での直播品種育成の素材になりうる。
  • 代掻き直後の土壌が柔らかい時の散播またはカルパー被覆種子用湛水土壌中直播機の使用により条播で土壌中に播種できた。なお、現在日本で使われている直播機は熱帯の開発途上国の農民には高価すぎるため、簡易な直播機を開発した。ここで開発された嫌気土壌中への播種法を、英語でAnaerobic seedingと名づけた。
  • 本播種法によりフィリピン、ベトナム及びミャンマーで安定した成果が得られた。改良された草型の湛水土壌中直播適応品種は移植で得られると同じ高収量を示した。
  • 倒伏は散播を条播にすることにより著しく軽減された。また倒伏は雑草の生育とも密接に関係していること、適応品種は雑草競合性が高いこと、苗立ちと雑草の発生は水管理と密接に関係していること等が解明され、今後節水栽培の確立を目指した学際的な試験研究が必要である。
成果の活用面・留意点 この成果は基盤技術であるため、今後、各国の研究機関での追試が必要である。また、温帯への適用は、稲が土壌中にある時期が長くなるので、さらに今後の研究が必要である。
また、ジャンボタニシの害についての検討も残されている。
図表1 214533-1.gif
カテゴリ 肥料 病害虫 遺伝資源 乾燥 栽培技術 雑草 直播栽培 水田 水稲 播種 品種 水管理 輸送

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