タイトル |
熱帯における野菜の重要害虫コナガの発生生態 |
担当機関 |
国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
1991~1993 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1994 |
要約 |
タイ中部の灌漑地帯のアブラナ科野菜ほ場では、コナガは雨季、乾季ともに高い増殖ポテンシアルを有し、高密度で発生していることを示した。また、コナガの体型は小型で、その年較差がほとんど無いことを明らかにした。
|
背景・ねらい |
タイでは最近、アブラナ科野菜の栽培面積の拡大とその周年栽培化が普及し、コナガが多発するようになった。しかし、コナガの発生消長や体型の季節的差異等の生態に関する知見はほとんど得られていない。熱帯のコナガに関するこれらの知見は、温帯のコナガのそれらとの比較生物学的見地からも重要である。
|
成果の内容・特徴 |
- 中部平原の灌漑地帯にある2カ所のアブラナ科野菜ほ場にフェロモントラップを設置し、2年間に亘って毎週、誘殺虫数を調査した。また、温帯圏におけるコナガの体型を比較する目的で、定期的に誘殺虫の前翅長を計測し、季節変異の有無を検討した。
- タイでは通常、雨季にはコナガの密度は低下すると言われているが、農薬散布頻度の低い場合、(図1-Aの実線)あるいは高い場合(図1-Bの実線,破線)でも雨季(6月~11月)、乾季(12-5月)ともに誘殺数は多く、季節間の差異は認められなかった。したがって、年間を通じて増殖ポテンシアルは常に高く維持されていた。
- 作物の収穫後には誘殺虫数は急激に減少し暫く回復が認められないことから、コナガ雄成虫の飛翔範囲はかなり狭いことが窺えた。
- 誘殺された成虫は小型で、日本では夏期の一時期ににのみ誘殺されるそれに相当していた。また、前翅長は年間を通じて一定しており、季節変異は認められない。これは常に高温で年較差の少ない気象条件を反映していると結論した(図2)。
|
成果の活用面・留意点 |
本研究で得られた発生消長や形態的特性についての知見はタイをはじめ、熱帯圏におけるコナガの生態研究や防除を考えるうえで有用と考えられる。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
カテゴリ |
病害虫
あぶらな
害虫
農薬
フェロモン
防除
|