タイトル |
乾燥耐性カウピー系統の選抜 |
担当機関 |
国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
寺尾富雄
渡辺巌(国際農林水産業研究センター)
B.B.Singh(国際熱帯農業研究所
カノ支所
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発行年度 |
1995 |
要約 |
西アフリカの半乾燥地帯で、乾期に残留土壌水分のみで栽培でき、ヘクタール当たり1トン近くの子実収量をあげうる系統、茎葉収量が高く家畜飼料として有望な系統等、カウピーの乾燥耐性系統を選抜した。
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背景・ねらい |
カウピーは高温乾燥地に適応したマメ科作物であり、西アフリカの半乾燥地帯では重要な蛋白質源として、子実は人間の食料に、茎葉は家畜の飼料に用いられている。この地域の年平均降水量は300~700mm程度であり、北に行くにしたがって降水量は減少し降雨期間も短くなり、年次間変動が大きくなって作物生産は不安定となる。このためカウピーの栽培も、比較的条件の良い期間、場所に限定されているのが現状である。そこで、乾燥耐性のカウピー系統を選抜することにより、生産の安定化、栽培の拡大を可能にしようとした。
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成果の内容・特徴 |
- 国際熱帯農業研究所保存のカウピー遺伝資源から900系統を供試して、乾期にナイジェリアの同研究所カノ支所の圃場で一次選抜を行った。播種後2週間灌水を行って発芽と初期生育を確保した後灌水を止め、約3ヶ月後に乾燥耐性の評価を行った。
- 一次選抜の結果から乾燥耐性であった系統、感受性であった系統等、約100系統を供試して、土壌水分3%に調節したポット条件で二次選抜を行い、乾燥耐性指数(耐性:4.6以上、感受性:1.5以下)で耐性の程度を示した。
- 二次選抜で乾燥訂正の程度を確認した系統を用いて、カノ支所の圃場において、雨期最後の雨の後に播種し、残留土壌水分のみで栽培した。乾燥耐性の系統は全般に旺盛な生育を示し、TVu-11979はヘクタール当たり約1トンの子実収量を上げた。1993~94年の乾期にナイジェリアの北部カノイで栽培した乾燥耐性と感受性のカウピーの生育(図1)、1993~94年の乾期にカノイで栽培したカウピーの子実と茎葉(乾物)の収量(表11))。
- 代表的な耐性系統と感受性系統の根の分布を調べた結果、感受系統では表層部にのみ根が高密度で分布していたが、耐性系統では深部にも広範囲に分布していた。したがって、土中深部の残留土壌水分を有効に利用できることがカウピーの乾燥耐性の一因と推察された(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 今回選抜した乾燥耐性系統を利用すれば、従来作物栽培が行われていなかった半乾燥地帯の乾期に、雨期の残留土壌水分のみを利用して食料や飼料を生産することができる。
- 乾期作の場合の最重要害虫であるマメノメイガ(Maruca testulalis)の被害が回避できることから、安定した収量が得られる。
- これらの選抜系統は晩生で、子実の色や粒大が現地農家の好みにあわないため、国際熱帯農業研究所の乾燥耐性カウピー育種の母体として用いられ、品種改良が行われている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
遺伝資源
害虫
乾燥
播種
品種改良
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