タイトル |
熱帯におけるアブラヤシ茎葉サイレージの利用 |
担当機関 |
国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
1992~1995 |
研究担当者 |
石田元彦
アブハッサン オスマン(マレイシア農業開発研究所)
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発行年度 |
1995 |
要約 |
パーム油産業副産物であるアブラヤシ茎葉の飼料としての価値を明らかにするとともに、それを熱帯の牛の飼料に配合、給与することによって牛肉と牛乳を生産できることを実証した。
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背景・ねらい |
マレイシアでは草資源が少ないため、牛肉、乳製品の自給率はきわめて低い。一方、世界一のパーム油生産国である同国の農業は、アブラヤシ果実生産に伴い剪定される茎葉は乾物換算で年間1900万トンに達し、廃棄に伴う環境問題も引き起こしている。そこで一年中入手容易な資源であるであるアブラヤシ茎葉を飼料化して牛の飼料として活用しようとした。
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成果の内容・特徴 |
- アブラヤシ茎葉は飼料カッターで細かく切断してサイロに詰めるだけで良質なサイレージとなる。マレイシア在来のケダ・ケランタン種雄牛に給与した消化試験から、アブラヤシ茎葉サイレージは可消化栄養分総量が乾物中46%で、稲わらに匹敵する栄養価のあることが判明した。
- オーストラリア産肉用交雑種雄牛を用いた32週間の飼養試験の結果(表1)から、アブラヤシ茎葉サイレージは、それを粗飼料として飼料乾物の30%程度配合して肥育牛に給与できることが判明した。
- サワヒール・フリージアン種乳牛を用いた27週間の飼養試験の結果(表2)から、アブラヤシ茎葉サイレージは泌乳牛の粗飼料として熱帯の牧草に勝るとも劣らない価値を有することが判明した。
- 本研究の成果を広報した結果、複数の農家で本技術が取り入れられた(写真)。
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成果の活用面・留意点 |
- アブラヤシ茎葉は細かく切断するだけで牛に給与できるので、本技術を農園近くの農家を対象として省力かつ経済的な粗飼料入手手段として普及できる。しかし、アブラヤシ茎葉だけでは牛を飼うことができないので、パーム核粕などのエネルギーや蛋白質の高い副産物と適切に組み合わせて給与する必要がある。
- 本技術はアブラヤシ栽培地域であるアフリカ、中南米、東南アジアなど、マレイシア以外でも普及の可能性がある。
- この研究成果はJICA技術協力プロジェクト「マレイシア未利用資源飼料化計画」に移される予定である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
乳牛
フリージア
未利用資源
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