タイトル |
ブタおよびイノシシのミトコンドリアDNA型解析のためのLA-PCR法の確立 |
担当機関 |
国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
小松正憲
Job M. Matias(フィリピン大学農学部)
武田久美子
大西 彰
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発行年度 |
1995 |
要約 |
ブタおよびイノシシのミトコンドリアDNA(mtDNA)15.2kbをPCRを増幅するLA-PCR法を初めて確立し、mtDNAのRFLP解析をきわめて容易に行えるようにした。フィリピン在来豚およびイノシシのゲノムDNAを材料に、本方法の有効性を確認した。
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背景・ねらい |
動物ゲノムには、核ゲノムと細胞質ゲノムに大別できるが、動物品等の遺伝子特性を大局的に把握するには、膨大な遺伝子数(約10万)および塩基数(約30億)をもつ核ゲノムを解析するより、塩基数が約16キロベースと小型でかつ突然変異率が核ゲノムより数倍高い細胞質ゲノムすなわちミトコンドリアDNA(mtDNA)を解析する方が適当である。従来、豚や牛など家畜・家禽のmtDNAの解析は、
- 新鮮な肝臓からmtDNAを分離精製し、RFLP解析を行う方法
- 各家畜のmtDNAをクローニングした後、これを標識してプローグとし、ゲノムDNAを制限酵素処理してサザン解析を行う方法
が採られてきた。しかしこれらの方法は、極めて煩雑なステップを必要とするだけでなく、解析に多くのmtDNAやゲノムDNAを必要とする欠点があった。そこで、最近、開発されたLA-PCR(L:Long;長い、A:accurate;正確の略)をブタ及びイノシシの系に応用し、微量のゲノムDNAを鋳型にしたmtDNAのLA-PCR増幅系を開発し、簡便なmtDNAのRFLP解析系を確立することをねらいとした。
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成果の内容・特徴 |
- 微量のゲノムDNA(約500ηg)を鋳型にしたPCR法により、ブタおよびイノシシのミトコンドリアDNA(mtDNA)約15.2kbを増幅し、RELP解析を可能にするLA-PCR法を初めて確立した。(図2)
- 本方法は、ホットスターによるLA-PCR法である。(図1)
- 本LA-PCR法を用いて、フィリピン在来のブタであるイフガオブタ及びルソンイボイノシシ及びパラワンヒゲイノシシのミトコンドリアDNAを増幅してRFLP解析を行い、これら動物mtDNA型を初めて明らかにするとともに、本法の有効性を確認した。(図3)
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成果の活用面・留意点 |
- このLA-PCR法はあらゆるブタ品種及びイノシシmtDNAの増幅に使用できる。
- 長鎖のmtDNAを増幅するためゲノムDNAの抽出の際、ゲノムDNAの物理的切断等の非特異的切断が起こらないよう注意が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
品種
豚
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