熱帯林伐採後の森林劣化要因の解明

タイトル 熱帯林伐採後の森林劣化要因の解明
担当機関 国際農林水産業研究センター
研究期間 1995~1995
研究担当者 田内裕之
Azman Hassan. Nazarudin Ramli
小南陽亮
勝木俊雄
平井敬三
佐々木尚三
Md.Farid
Abd.Rashid
発行年度 1995
要約 東南アジア熱帯降雨林は択伐-天然更新による持続的利用が期待されているが伐採後の有用雅樹成長・増殖が悪い例が多く森林劣化が著しい。伐採後の競合植物による環境劣化、不適な伐採方法、土壌撹乱などが雅樹の消失、定着・成長阻害原因であることを解明した。
背景・ねらい 東南アジア熱帯雨林地帯では択伐-天然更新という持続的森林管理・利用法が長期にわたり適用されてきた。その結果、焼畑地を除き森林が継続している。しかし、択伐後有用樹の更新が適切に進む例は稀で、ほとんどは早生樹など利用不適種に変化した劣化林として次代へ受け継がれ、将来の適切な森林生産を困難にしている。森林劣化は地域経済や環境維持に重大な障害となると予想されるため、今後の対応策の構築に向けて、森林劣化の主要因、天然更新の現状と妨害要因および回復・改善の手段を明らかにする。
成果の内容・特徴 マレイシア森林研究所と共同で微細環境、植生構造、林地・土壌撹乱の時系列的変化をセランゴール州有林の択伐林と対照天然林において主要フタバガキShorea curtisiiを指標として解析すると共に伐採方法をトレンガヌ州の択伐作業地で解析した。なお、将来の大規模林地への適用を配慮し、省コスト・省力化に結びつく簡便な劣化林発生抑制・改良技術開発を想定した研究を目指した。
研究の成果と特徴は次の通りである。
  1. 指標種Shorea curtisiiを含むフタバガキは集・運材路が開設される斜面上部に集中分布し、伐採による影響を受けやすいことが判明した(図1)。フタバガキの低い耐乾燥性を反映し、土壌水分低下と共に雅樹の成長速度が低下した。
  2. 伐採後の叢生ヤシの繁茂により雅樹上の相対照度が5.1%から1.3%にまで低下し、著しく雅樹成長を阻害したが、除去により照度が平均4%程度に回復し、雅樹成長が可能となった(図2)。
  3. 集材路は尾根に集中し(図1)、伐採-木寄せの際の軽度攪乱が面積で過半、ブルトーザーの走行による重度攪乱が林地の10%程度となり、雅樹の損壊は顕著であった。
  4. 攪乱地の土壌移動と圧密は顕著で、伐採5年後でも重度攪乱地の土壌裸出比は軽度地の2.7倍で、有用雅樹の定着はほとんど皆無であった(表)。
  5. 以上の結果、現行法では早急な天然更新は期待できず、叢生ヤシの除去と共に重度攪乱地には補正造林による有用樹の付加が、また伐木-集・運材方法の抜本的改善が必要との結論を得た。
成果の活用面・留意点 伐木-天然更新現行法は森林劣化が著しいため改善が望まれており、この研究で伐採による雅樹・土壌攪乱との競合種の繁茂が最大の問題点となることを明らかにした。今後、伐採方法の改善と雅樹損失及び土壌撹乱の補正方法の改善に焦点を合わせた研究が必要と結論づけた。
図表1 214555-1.gif
図表2 214555-2.gif
図表3 214555-3.gif
カテゴリ 乾燥 コスト 省力化

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる