エビ類の成熟判定技術の開発

タイトル エビ類の成熟判定技術の開発
担当機関 (独)国際農林水産業研究センター
研究期間 2001~2003
研究担当者 マーシー ワイルダー
ビデャア ジャヤサンカー
サフィア ジャスマニ
筒井直昭
Nguyen Thanh Phuong
発行年度 2002
要約 エビ類を用い、卵黄タンパク質の全アミノ酸配列、プロセシング経路および成熟過程に伴う遺伝子発現変化にもとづいて開発したエビ類の成熟度判定法により、親エビを選定できる。
背景・ねらい エビ養殖は、東南アジア地域の最大の水産業であり、市場は世界的に拡大傾向にある。しかし、エビ類養殖生産の現状は、成熟した親エビを天然にたより、しかも成熟エビの判定が難しいため、産卵後の生残率が不安定である。安定な養殖技術の確立のため、正確な成熟度判定技術の開発が必要とされている。そこで、エビ類の成熟に重要な役割を担う卵黄タンパク質の構造およびプロセッシング経路を解明し、成熟度判定のための実用的技術を開発する。
成果の内容・特徴
  1. オニテナガエビの成熟卵巣から、高速液体クロマトグラフィーにより卵黄タンパク質ビテリン(Vn)を精製し、cDNAクローニングにより卵黄タンパク質前駆体ビテロジェニン(Vg)全体をコードするcDNAが得られ、それを用いて全アミノ酸配列を解明できる(図1)。
  2. 同じ方法で決定したクルマエビ、トヤマエビの卵黄タンパク質の全アミノ酸配列も含めると、エビ類におけるアミノ酸配列の同一率は高い。
  3. オニテナガエビのビテロジェニンは肝膵臓で合成され、血リンパ中に分泌された後、最終的に3つの卵黄タンパク質ビテリン(VnA、B、C)に切断され、卵巣に取り込まれることが判明し、成熟過程に伴う一連の卵黄タンパク質のプロセッシング経路が解明された(図2)。
  4. エビ類の卵黄タンパク質の共通部位に対して作成した抗体を用いた抗原抗体反応により、成熟度の指標であるビテロジェニンの血液濃度を定量することができるので、成熟度を判定できる。
  5. 卵黄タンパク質のmRNAレベルが高まると、ビテロジェニンの血中濃度、生殖腺体重比(GSI)が共に上昇し、数日以内に脱皮および産卵に至る(図3)。血液中の卵黄タンパク質濃度を測定する「エビ類成熟度判定技術」は遺伝子レベルと実際の面からも有効である。
成果の活用面・留意点 開発された「エビ類成熟度判定技術」は卵黄タンパク質濃度を測定するEnzyme immunoassay、定性的な免疫学的手法、Dot blottingの3種類があり、用途に応じて選択が可能であり、現場ではDot blottingが有効である。いずれの方法もキット化が可能である。本技術を形態的観察と組み合わせるとさらに有効である。
図表1 214579-1.png
図表2 214579-2.png
図表3 214579-3.png
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